繊細な凹凸模様がオシャレ!
デザイン性の高い自分だけの外壁に
「ジョリパット」は、デザイン性の高いオシャレな外壁にしたい方に人気の塗り壁材です。
フランス生まれのジョリパットは、アイカ工業株式会社が1975年に日本に導入して以来およそ50年の歴史があります。
建物の外壁だけでなく内装にも使用される塗り壁材で、耐久性とデザイン性の高さ、色・パターンの豊富さがとても魅力的です。
ここでは、そんなジョリパットについて詳しく紹介します。
メリット・デメリットや費用相場、塗り替え時に最適な塗料、塗装時の注意点などをわかりやすくまとめたので、ぜひご覧ください。
ジョリパットとは

「ジョリパット」とは、外壁の仕上げに使われる塗り壁材のひとつです。
「砂壁状意匠性仕上げ材」と呼ばれる外壁材の一種で、リシンやスタッコ、漆喰などと同様に意匠性の高い外壁に仕上げることができます。
ジョリパットは粘性のある半固形物で、モルタルの下地に直接塗って外壁を仕上げます。
このような「塗って仕上げる」外壁は一般的に「塗り壁仕上げ」と呼ばれ、仕上げ方を「湿式工法」と呼びます。
一方、現在主流の外壁材である「サイディングボード」の仕上げ方は「乾式工法」と呼ばれており、既製品のパネルを外壁に取り付けて仕上げる方法です。
湿式工法で仕上げるジョリパットは、サイディングボードのような既製品のパネルと異なり、その場で職人が模様を付けて仕上げます。
そのため、凹凸の縞模様や青海波のような波模様など、世界でひとつだけの美しいデザインの外壁にできます。
- 「ジョリパット」は外壁材の名称ではない
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「ジョリパット」という言葉は外壁材の種類のひとつとして使われることも多いですが、実はアイカ工業の商品名で、外壁材の種類の名称ではありません。
もともとフランスで開発された塗り壁材で、現在国内ではアイカ工業が販売している商品です。
「ジョリパットと同じような特徴を持つ仕上げ材」は、他のメーカーからも異なる名前で販売されていますが、外壁材の種類として「ジョリパット」と言った場合、アイカ工業の商品を指すことがほとんどです。
- ジョリパットと同じような特徴を持つ仕上げ材
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- エスケー化研の「ベルアート」
- 菊水化学工業の「グラナダシリーズ」 など
当サイトでは、アイカ工業の「ジョリパット」について解説しています。
ジョリパットのメリット・デメリット
メリット
- デザイン・カラーが豊富
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13種類のデザインパターンと100種類以上のデザイン、140種類以上のカラーがあります。
自分好みのデザインとカラーで仕上げることで、世界に一つだけのオリジナル外壁が完成します。
- オリジナリティのあるデザイン
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ジョリパットの代表的なメリットといえば、デザイン性の高さですね。
既製品のパネルを組み立てるのではなく、職人がコテや櫛を使って仕上げる塗り壁材のため、洋風にも和風にも、希望する凝ったデザインに仕上げられます。
- 質感を残したまま塗り替えられる
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表面に凹凸模様のある外壁を一般的な塗料で塗り替えると、凹凸は塗りつぶされ消えてしまいます。
しかし、ジョリパットの場合は専用の塗り替え用塗り壁材を使い、ジョリパット特有の風合いや意匠性を残したまま塗り替えられます。
- 高い耐久性
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色あせしにくく、ひび割れに追随する機能があり、耐久性の高い外壁材と言えます。
耐用年数も長く、現在主流のシリコン系塗料は7〜13年であるのに対し、ジョリパットの耐用年数は15〜20年と言われています。
耐火性にも優れるため塗装した外壁だけでなく、建物自体の耐久性も上がります。
- メンテナンス費用があまりかからない
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高耐久性のため汚れが付きにくく、汚れだけを理由とする定期的な塗り替えは不要です。
汚れが付いたとしても、水をかけて軽く擦れば落とせることが多く、高額なメンテナンス費用がかかることはあまりありません。
- 人体や環境に優しい
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有害物質「ホルムアルデヒド」の放出量が最も少ないことを示す「F☆☆☆☆(エフフォースター)」のランクを取得しています。
自然素材を使用しているため有害物質の発生・放出が少なく、小さな子供やペットがいる住宅でも安心です。
デメリット
- 外壁に汚れが付きやすい
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汚れを落としやすい一方で、汚れ自体は付きやすい外壁です。
タイルなどツルツルの外壁材に比べて凹凸がある分、凹みに汚れが溜まりやすく、定期的に掃除をしない場合は汚れが溜まっていきます。
- 高圧洗浄で外壁が剥がれやすい
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凹凸があり凝ったデザインである分、繊細な外壁と言えます。
高圧洗浄で圧が強すぎたり、耐用年数間近になっていたりする場合、凹凸のデザインが欠けたり、剥がれたりして内部に水が浸透してしまう可能性があります。
- 施工費用が高め
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耐久性が高く、安全性に優れた塗り壁材のため、費用は高めです。さらに職人が手作業で作業するため、人件費も高くなります。
しかし、耐用年数が長く、塗り替えの回数は少なく済むため、長い目で見ればメンテナンスコストは下がります。
- 仕上がりが職人の腕に左右される
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職人が手作業で意匠を施していく外壁だからこそ、職人の技術力によって仕上がりが左右されてしまいます。
またジョリパット専用塗料は、希釈率や乾燥の仕方などが一般的な塗料とは異なり、専門的な技術が必要です。
そのため、経験豊富な職人や業者に依頼することをおすすめします。
ジョリパットに最適な塗料って?

ジョリパットは意匠性および機能性の高い外壁のため、専用塗料の使用がおすすめです。
一般的な塗料と比較すると、以下のような違いがあります。
内容 | ジョリパット専用塗料 | 一般的な塗料 |
---|---|---|
艶 | 艶なしのみ | あり、なしが選べる |
透湿性 | 優れる | 塗料により異なる |
汎用性 | なし | あり |
一般的な塗料を使用することもできますが、艶消しの自然な風合いや、ジョリパット自体が持つ機能が発揮されず、劣化を早めてしまうことがあり注意が必要です。
メーカーの「アイカ工業」をはじめ、以下のように各社が高意匠外壁専用の艶消し塗料を販売しているため、そちらを選びましょう。
ジョリパットならではの質感や風合いを活かしたまま、透湿性などの機能性を損なわずに美しく塗装できます。
- 代表的なジョリパット用塗り替え塗料
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- アイカ工業「ジョリパットフレッシュ」
- エスケー化研「アートフレッシュ」
- 菊水化学工業「グラナダフレッシュ」
- 日本ペイント「インディフレッシュセラ」
- スズカファイン「ビーズコートフレッシュ」 など
なお、アイカ工業から「ジョリパットトップ シリコーン」という艶ありのトップコートが販売されているため、そちらを使用することで艶ありに仕上げることが可能です。
ジョリパット外壁の塗替え相場
ジョリパット1m² あたりの単価相場は5,000円前後、延べ床面積30坪の一般的な戸建て住宅の場合80〜130万円程度です。
足場設置費用や高圧洗浄、下地補修などが含まれている金額ですが、使用する塗料によって金額は前後します。
ジョリパットの外壁はデザイン性の高いものが多く、塗装の難易度が高い繊細なオリジナルデザインの外壁を塗装する場合、200万円を超えることもあります。
ジョリパットは製品やデザインによって費用に大きな差が出やすいため、事前に塗装業者と予算や希望する機能などについてしっかり打ち合わせをしましょう。
ジョリパット外壁を塗り替える時の注意事項

デザイン性の高いジョリパット外壁を塗り替える時は、以下のことに注意しましょう。
専用の塗替え材が必要
ジョリパットはデザイン性に優れ、透湿性の高い塗り壁材です。そのため、塗り替える際は専用塗料の使用が推奨されています。
基本的に、ジョリパットのメーカーである「アイカ工業」の専用塗料や、他社の高意匠外壁専用塗料を使用すれば問題はありません。
- 「透湿性の低い微弾性塗料」「弾性塗料」はNG!
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一般塗料を使って塗り替えることも可能ですが、その際は「透湿性の低い微弾性塗料」「弾性塗料」は使わないようにしましょう。
ジョリパットは吸水性の高い塗り壁材です。内部に残った水分は水蒸気となって外気に放出されますが、透湿性の低い塗料を塗ってしまうと水蒸気が外に逃げられず、塗膜が膨らんでしまいます。
また、ひび割れに追従する弾性塗料を使用する場合も透湿性の高い弾性塗料を使用してください。
丁寧な高圧洗浄が必要
凹凸による繊細な意匠のジョリパット外壁を塗り替える時は、工程のひとつである「高圧洗浄」を一般的な外壁材の時よりも丁寧に行う必要があります。
凹凸部分は汚れが残りやすく、汚れを落としきらないまま新しい塗料を塗ってしまうと、塗膜の剥がれや膨れなどの不具合が起きる可能性があります。
また、高い圧力で汚れを吹き飛ばす高圧洗浄ですが、汚れだけでなくデザインとしての凹凸自体を削ってしまうこともあります。
補修跡が目立つ覚悟が必要
ひび割れなどの補修は一般的に、シーリング材を充填したり、樹脂を注入したりして補修します。
ジョリパットの外壁でも同様の補修方法をとりますが、凹凸により作られたデザインを分断して修繕するため、その部分の質感が変わってしまいます。
そのため、補修部分がどうしても目立ってしまうのです。
どうしても補修跡を目立たせたくない場合は、「カチオン防水」と呼ばれる方法があります。ひび割れを広げ、防水伸縮セメントを注入する補修方法です。
補修跡が目立ちにくいというメリットがありますが、一般的なシーリング材に比べて4倍以上の費用がかかることがあります。
塗装前にサンプルで確認させてもらう
色やデザインがとても豊富なジョリパットですが、カタログだけ見て選ぶのではなく、必ず事前にサンプルで確認しましょう。
凹凸模様は印刷された小さな画面で確認するのと、ある程度の大きさのものを実際に太陽光に当てて確認するのではかなり印象が変わります。
日に当たると凹凸による影ができてコントラストが強くなります。「カタログで見た時とはイメージが違う」と思う方も多いでしょう。
また、凹凸部分に実際に触れることで、手触りや風合い、質感を確認できます。
経験豊富な施工会社を選ぶ
ジョリパットは塗り壁材のため、職人の腕によって仕上がりが大きく左右されます。加えて塗料も専門塗料を使用する必要があり、一般的な塗料とは条件が細かく異なります。
高い専門性を必要とするジョリパットの塗り替えを行う場合は、必ず経験豊富な施工会社を選びましょう。
ジョリパットの施工歴や事例があるかどうかは、業者のホームページなどで確認できます。