「外壁塗装がイメージと違った!」
とならないために
色には、同じ色でも見え方が変わったり、組み合わせで印象が変わったりする現象や目の錯覚があります。こうした色の仕組みについて理解しておくことで外壁塗装の色選びの失敗を防ぐことができます。
この記事では、外壁塗装に影響する面積効果や同時対比などについて詳しく解説します。
外壁塗装の工事費用は決して安くありません。塗り終わったら「イメージが違った」と後悔しないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
外壁塗装の色選びで知っておきたい「面積効果」
面積効果とは?
面積効果とは、同じ色でも面積の大きさによって明るく見えたり、暗く見えたりする現象のことです。
小さな色見本から色を選び、その色で塗り替えてもらったはずなのに、仕上がりが色見本の色と違って見えることがあります。これは面積効果による色の見え方の違いが原因です。
面積効果による色の見え方
- 明るい色は、その面積が大きくなるほどより鮮やかに明るく見える
- 暗い色は、その面積が大きくなるほどより暗く見える
面積効果を考えた色選びのポイント
- ①ワントーン調整した色を選ぶ
- 小さな色見本で色選びをする際は
- 明るい色はワントーン暗めの色
- 暗い色はワントーン明るめの色
- ②大きいサイズの色見本で色のチェックをする
- ワントーン調整した色を選んだら、塗装業者に頼んでその色のA4サイズの色見本を用意してもらい、イメージした色と違いがないかを確認します。
色見本帳
また、見本の色と同じ色を使っている建物があったら、実際に、色見本と比べてみましょう。どのくらい色味に違いが出るのかを目で見て確認できます。
経年劣化による色の変化もあるので、新築や築年数の浅い建物を塗装業者に頼んで見せてもらってもいいでしょう。希望する色とは違う場合でも、近い色であれば実物との色味の違いがどのくらいなのかがわかるので、色選びに有効です。
外壁塗装の色選びは「同時対比」に気を付けよう!
同時対比とは?
2つ以上の色を同時に見たときに、それぞれの色が影響しあって、元の色だけの時とは違う見え方をすることを、同時対比といいます。
外壁塗装では、1つの建物の塗り分けや、建物の周りの背景色、近隣の建物との対比が当てはまります。
同時対比の見え方には、色相対比、明度対比、彩度対比、補色対比、縁辺対比などの種類があります。
色相対比とは
色相は、赤、青、緑、黄色のような色味の違いのことを表します。
色相対比とは、元の色が背景の色に影響され、元の色と違って見える現象です。元の色が背景色の心理補色(※)に影響され、違った色に見えるという仕組みです。
※心理補色とは、一方の色をしばらく見つめた後、白い紙などに目を移すと、残像として見える色のことです。小さな円は同じブルーですが、背景の色に影響されると左の図の小さい円は赤っぽい色味に、右の図の小さい円は青っぽい色味に見えることがわかります。
色相対比は、色の張り合わせなどで影響が出るため、外壁塗装ではサイディングの目地(つなぎ目)の色選びの際にポイントとなります。
明度対比とは
明度は色の明るさの度合いです。
明度対比とは、元の色が背景の色に影響されて、本来の色より明るく見えたり暗く見えたりする現象です。背景の色が明るければ、元の色は本来より暗くみえ、逆に背景の色を暗い色にすると、元の色は本来より明るく見えます。
左の図は背景の色が暗い色(黒)なので、中のブルーが明るく見え、右の図は背景の色が明るいグレーなので、中のブルーが暗く見えることがわかります。
外壁塗装では1階と2階で色を塗り分けたり、異種外壁材を組み合わせたりするツートンカラー(2色配列)の家も増えています。
ツートンカラーを希望する場合は、
- 一方の色を明るめの色にしたい→隣り合う色を明度の低い暗めの色にする
- 一方の色の明るさを抑えたい→隣り合う色を明度の高い明るめの色にする
といいでしょう。
彩度対比とは
彩度とは色の鮮やかさの度合いです。彩度が高いほどビビットな色になり、低いほどくすんだ無彩色(白、黒、グレー)となります。
彩度対比とは、元の色に背景の色が影響して、本来の色の鮮やかさが違って見える現象です。
背景色の彩度が高いと元の色の彩度が低くなってくすんで見え、反対に背景色の彩度が低いと元の色が鮮やかに見えます。
左の図は背景色の彩度が高いため小さい円の彩度が低くなりくすんで見えます。右の図は背景色の彩度が低いため、小さい円の彩度が高くなって鮮やかに見えることがわかります。
外壁塗装では、建物の背景や近隣の建物の色の彩度によって、選んだ色が鮮やかに見えてしまうことがあります。周りの住宅環境にも考慮して選ぶ必要があります。
補色対比とは
補色とは、色相環(しきそうかん)で正反対にある色のことです。
色相環とは、基本の色と色の変化をつなげて輪にした、いわゆる色の輪です。
補色対比とは、元の色と背景の色が補色関係のとき(色相環で正反対の色同士のとき)、それぞれの彩度が高くなったように(鮮やかに)見える現象です。彩度対比の一種でもあり、彩度が高いほど対比効果が強調されます。補色を組み合わせることで、互いの色を目立たせることができます。
左の図は背景の色と小さい円が補色の組み合わせであるため、それぞれの色が鮮やかに引き立って見えます。一方、右は背景の彩度が高いため、小さい円がくすんで見える彩度対比となっています。
外壁塗装では、家を目立たせたい場合に役立ちますが、色の選び方によっては奇抜な印象になる可能性があるので気をつけましょう。
縁辺対比とは
縁辺対比とは、異なる色と色が接している境界線付近で起きる現象です。
特にグラデーションの場合、隣接している色の影響を受けやすく、境界線部分の一方が明るく、もう一方が暗く見えます。
膨張色と収縮色
膨張色と収縮色は、色によって実際の面積よりも大きく見えたり小さく見えたりする現象です。
暖色系の明るい色は実際よりも大きく見え、寒色系の暗い色は実際よりも収縮して見えます。面積効果と似ていますが、膨張色と収縮色は面積が同じでも感じる現象です。
外壁塗装では、寒色系の収縮色を使うことですっきりとした印象の家になり、暖色系の膨張色を使うことで家を大きく見せる効果があります。
進出色と後退色
色には、同じ距離であっても、近くに見える進出色と、遠くに見える後退色があります。
一般的には暖色系や明るい色が進出色、暗い色や寒色系が後退色といわれています。
左の図は、黄色と青に距離感があるように見えますが、右の図は青と黄色が平面にあるように見えます。
外壁塗装では、建物の奥行きを出したいときなどに有効です。後退色で外壁塗装をして、門柱などを進出色にすると門から建物までの奥行きを出す効果があります。
建物をツートンカラーにする場合、1階を後退色、2階を進出色にするとバランスの悪い印象になる可能性があるので気をつけましょう。
光源色もチェックしよう
光源とは太陽光のことで、光源そのものが発している色が光源色です。
外壁は太陽の下にあり、光源色で色が変わります。室内で見る見本帳の色と、外壁の色が違って見えるのは、光源色が要因の一つでもあります。
また晴れや曇りなど天気の違いや季節の違いだけでなく、明るくなり始める明け方の時間帯、正午前後の最も明るい時間帯、日の入り直後の薄明るい時間帯など1日の中でも時間帯によって見え方が変わります。
色選びは、屋外で実際にどんな色に見えるかを確認しましょう。その際は、天気や時間帯を変えて、さまざまな環境下で見てみるといいでしょう。
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