外壁塗装を長持ちさせる掃除術
~頻度や注意点、必要な道具を教えます
外壁が汚れる原因と掃除の必要性
外壁は紫外線や風雨を浴びやすいため、屋内に比べると汚れの度合いが高くなるのは想像に難くありません。かといって屋内の掃除をするペースで外壁の掃除をするかというと、答えはNOという人はとても多いのではないかと思いますが、これは外壁汚れが日常生活に支障をきたさないからですよね。しかし実のところ、外壁汚れは日常生活をいずれ蝕むことになります。
外壁の汚れを引き起こす原因には以下のようなものがあります。
- シーリング剤から溶け出した油がにちりやほこりが付着したもの
- 雨水に大気中の油分が付着したもの
- コケ・藻・カビが繁殖してできたもの
これらを放置して時間が経つと、汚れが取れにくくなるだけでなくクラックや塗装のはがれを引き起こし、そこから雨水やカビが侵入して家屋全体を脅かすこともあります。外壁の定期的な掃除が必要なのは、こうした深刻な事態を招かないようにするためです。
必要な道具と掃除方法
日常的なお掃除方法
外壁の汚れは、厳密に言うと足場を組まなければ隅々まで洗い流すことはできません。しかし頻繁に掃除をすることで、足場がなくてもある程度の汚れを落とすことは可能です。以下に外壁の掃除を自分で行う際に準備すべきものと掃除方法をご紹介します。
- 準備するもの
- 洗車用のスポンジ、雑巾、中性洗剤、ホース
- 掃除の流れ
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- ホースで外壁全体を水洗いする
- 中性洗剤とスポンジを使って①で落ちなかった汚れを落とす
- 洗剤を水で洗い流す ※コーキング部分には直接水を流さず、雑巾で拭き取る
- 乾燥させる
準備するものはすべてホームセンターなどで手に入ります。これらが手に入れば、あとの手順は上記に示した通り、簡単です。これならお休みの日やちょっと時間が空いたときにパパッと済ませてしまうこともできそうですね。
気になる汚れは家庭用高圧洗浄機で
高圧洗浄機は、水圧を使って汚れを落とすことができる機械です。
外壁やベランダ、窓、車などの洗浄でよく使われていますが、外壁の場合、ほこりやすすなどの汚れやコケなどを簡単に掃除することができます。
- メリット
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- 手作業だとなかなか落ちない汚れも、水圧でラクにきれいに落とすことができる
- 時短になるので、水道代や洗剤の節約になる
- 2階部分の外壁を脚立やハシゴを使わずに掃除することができる
- 選び方
- 高圧洗浄機には、業務用と家庭用がありますが、一般家庭で使うのであれば、ホームセンターなどで手に入る家庭用の高圧洗浄機がおすすめです。
ポイントは水圧とホースの長さです。- ①水圧
- 高圧洗浄機は、何を洗浄するかによって使用する水圧が変わります。家庭用の高圧洗浄機の水圧は、ほとんどの場合2〜8MPaです。外壁やベランダ掃除をする場合は、7MPa以上のものを選びましょう。
- ②ホースの長さ
- 建物の大きさにもよりますが、2階建ての家周りを洗浄するのであれば10m以上は必要です。
外壁の雨だれ除去方法
おしゃれな外観の家でも、外壁に雨だれがあるだけで美観を損ねてしまいますよね。
雨だれは、外壁に付着した汚れが雨水で流されきれず、細長い筋のように黒ずんだ汚れとして残ってしまう状態です。外壁の素材や立地条件によっては新築の家であっても雨だれが目立つことがあります。また放置していると雨だれの汚れがどんどん広がり、簡単に落とせなくなってしまいます。
雨だれを見つけたら早めに除去しておきましょう。
雨だれの落とし方
- ①中性洗剤で落とす
- 洗車用のスポンジに、ぬるま湯で薄めた中性洗剤を含ませて落とします。強く擦ると外壁に傷がつくことがあるので、優しく洗いましょう。中性洗剤で落ちない場合は、外壁用のクリーナーを使用してみてください。落とし終わったら、ホースを使って外壁を水で流します。
- ②高圧洗浄機で落とす
- 家庭用の高圧洗浄機を使って落とします。
水圧を利用するので、手間をかけずに短時間できれいに汚れを落とすことができます。
「汚れが落ちない」「高い場所にあって届かない」などの場合は、無理して作業をせず、プロである外壁塗装業者に依頼しましょう。養生をして外壁の素材に合わせた洗浄を行なってくれます。
費用はかかりますが、きれいになるだけでなく雨だれが発生しにくくなるなどのメリットもあります。
外壁の換気口の汚れも目立つ!落とす方法は?
別名「ガラリ」とも呼ばれる外壁換気口は、室内の換気をするために外壁に取り付けられている住宅設備です。
一見、きれいな外壁でも、この外壁換気口の下だけ黒く汚れているという家は意外に多くあります。
室内から排出される空気は、油が混ざっているとほこりやすす、カビなどと絡み合って落ちにくい汚れとなり、雨が降るとその汚れが水滴となって外壁に流れ落ちます。外気の汚れとも性質が違うため、雨水で流れ落ちることもなく、換気口の下だけ黒い筋状の汚れとして目立ってしまうのです。
外壁換気口の汚れの落とし方
- ①アルカリ性洗剤で掃除する
- 黒い汚れは油が混ざっている「酸性」の汚れなので、「アルカリ性」の洗剤を使って落とします。
- 準備するもの
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- アルカリ性洗剤(外壁汚れ用洗剤としてホームセンターやインターネットで入手可能)
- ブラシ
- スポンジ
- ゴム手袋
- ウエス(使わなくなったタオルなどの布きれ)
- 手順1
- 汚れ部分にアルカリ性洗剤を直接噴射する
- 手順2
- ブラシやスポンジで換気口と外壁をこすり洗いする
※外壁換気口本体は、ビス留めされているタイプであれば取り外して丸洗いが可能です。コーキングで外壁に固定されているタイプは取り外せないので、そのままの状態で汚れを落とします - 手順3
- 垂れてくる洗浄液をウエスで拭き取りながら、汚れが落ちるまで繰り返し洗う
- 手順4
- きれいになったら、ウエスを水で濡らして拭き、乾いたウエスで拭き取る
※洗剤が残っているとシミになるおそれがあるので、きれいに拭き取りましょう。
- ②外壁塗装業者に依頼する
- 換気口のダクトが汚れている場合は、ダクトが目詰まりを起こしている可能性があります。自分で落とすことはむずかしいので業者に依頼しましょう。
換気口下の外壁の汚れも、高圧洗浄できれいに落としてもらうことができます。
外壁掃除の注意点
自分で掃除をする場合に十分に注意しておかなければならない点をまとめました。
- ①晴れの日に実施する
- 外壁の掃除をしたら最後はしっかりと乾燥させることが重要です。生乾きの状態は汚れが付着しやすい状態であるため、せっかくの掃除が無駄になってしまいます。
1日で終わらせることを目標として、朝から夜まで雨予報が出ていない日を選びましょう。 - ②コーキング部分を傷づけないよう注意する
- コーキング部分は水圧に弱く、傷つきやすいのが特徴です。掃除の際はこのコーキング部分が傷つかないよう十分に注意しながら行いましょう。
高圧洗浄機を使用する場合は、水圧を弱くするなど特に注意が必要です。 - ③研磨剤は使用しない
- 研磨剤を使うと、汚れが落ちやすい反面、塗料まで削ってしまうことになります。削られた塗料の表面は汚れが付きやすくなるほか、雨水が侵入したりカビが生えやすくなるため外壁の劣化速度を速めてしまいます。
- ④室内に水漏れしないように注意する
- コーキング部分が壊れた状態で壁にホースで水を撒いた場合、その水がコーキング部分の隙間から屋内に侵入します。また建物が古くなっている場合は、窓やドアの隙間から水が侵入することもあるので、心配なところは養生テープでふさいでおくといいでしょう。
年数が経過した外壁やコーキング部分に高圧洗浄機を使用する場合も注意が必要です。水圧が強いとヒビや破損の原因になる可能性があるため、水圧を弱くするなど調整しながら作業を行いましょう。
また作業時はカッパを着用し、ゴーグルをつけるなどの対策もとっておきましょう。 - ⑤近隣への水の飛散や騒音に注意する
- ホースで水を撒いたり、高圧洗浄機を使用したりしているといつの間にか「隣家に水が飛び散ってしまった」「地面に溜まった水が隣家の占有地に流れ込んでしまった」といったことも起こり得ます。近隣へ水が飛散しないよう作業前に養生をしっかり行なっておきましょう。
また、高圧洗浄機は種類によってかなり大きな音が発生するものもあります。
水の飛散や騒音は大きなトラブルに発展する恐れがあるので、作業中に十分注意するのはもちろん、事前に近隣に一声かけておくと安心です。
外壁の汚れ防止策
- ①定期的に業者に外壁洗浄を依頼する
- 業者が行う洗浄は、自分で行うのと違い、水圧が強くかつ強弱を調整できる高圧洗浄機を使用します。また外壁素材に合わせて適切な洗浄をしてもらうこともできます。
こうした洗浄を定期的に行うことで、水垢や土ぼこりだけでなく、根の張ったカビやコケを取り除くことが可能な上、バイオ洗浄を使うことでカビやコケの再発防止もできます。
- ②外壁塗装の際の塗料選びに注意する
- 塗料には、さまざまな性能を備えたものが揃っています。
- 防カビ塗料
- カビの発生を抑制する成分が含まれた防カビ性能のある塗料です。
カビやコケが生えにくい外壁にすることができます。 - 耐候性の高い塗料
- 気候の変化に対する耐性(耐候性)の高い塗料です。
外壁は年中外気に晒されています。そのため紫外線や雨水、温度変化などによって変色や劣化がすすむことがあります。フッ素樹脂塗料や無機塗料など耐候性の高い塗料を使用することで、塗膜の劣化を防ぎ、カビやコケ、水垢、サビなどを抑えることができます。 - セルフクリーニング機能がついた塗料
- 塗料に含まれている酸化チタンが、紫外線に反応することで外壁に付着した汚れを分解し、雨水で洗い流される塗料です。
お住まいの地域の気候や環境など立地条件に合わせて塗料を選ぶことで、外壁の汚れを防ぐことができます。
- ③ノンブリードのシーリングを使用する
- 外壁ボードの間の継ぎ目や、外壁とサッシの隙間などを埋めているシーリングは、汚れが発生すると外壁の劣化を早める要因となり、建物全体に影響を与える可能性があります。
可塑剤が多く含まれているシーリング材は汚れが発生しやすいので、可塑剤が含まれていないノンブリードのシーリングを使用するといいでしょう。
- ④水切りを設置する
- 窓周りは、雨水が窓枠を伝って雨だれが発生しやすい箇所です。
窓枠に水切り(水受け)を設置することで雨だれの汚れを防ぐことができます。