外壁塗装でよく聞く低汚染塗料ってなに?
特徴やメリットを知って賢く選ぼう!
外壁塗装を検討していると、低汚染塗料という言葉をよくみかけると思います。
低汚染塗料は機能性塗料のひとつで、最近とても人気があります。
ここでは、低汚染塗料とはなにか、その特徴や仕組み、低汚染塗料を使うメリット・デメリット、代表的な低汚染塗料の種類、低汚染塗料で外壁塗装を行う場合の注意点をまとめました。
外壁塗装を検討している方は、ぜひご覧ください。
外壁塗装で使われる低汚染塗料とは?どんな特徴があるの?
外壁塗装を検討していると、業者から「低汚染塗料」をすすめられることがあります。
低汚染塗料とは、最近人気の機能性塗料のひとつです。
その特徴は、以下の2点です。
- 塗装表面に汚れが付きにくい
- セルフクリーニング機能がある
塗料はすべて、乾燥すると表面に塗膜が作られ、外壁を守っています。
低汚染塗料は、この塗膜の防汚性能が高く、汚れが付いても落ちやすい塗料です。
低汚染塗料の仕組みを詳しく解説
一般的に「低汚染塗料」というと、「親水性の高さ」によって汚れにくい機能を持つ塗料を指すことが多いです。
しかし、塗料にはさまざまな「汚れの付きにくくなる仕組み」があります。
以下に紹介するような仕組みを持つ塗料のことを、「低汚染塗料」と呼ぶことができます。
- 高い親水性
- 塗膜が水と非常になじみやすいため、汚れが定着しにくい。塗膜と汚れの間に水が入り込むため、降雨などにより汚れを洗い流す「セルフクリーニング」機能がある。
- 高密度の塗膜
- 塗膜の密度を高くし塗膜成分同士の結合の隙間を小さくすることで、汚れを塗膜に定着させないようにする。
- ロータス効果による超撥水
- 蓮(ロータス)の葉のように、汚れを弾く。蓮の葉表面の微細構造と特性を塗膜に再現し、汚れを付着させない。
- 光触媒機能による汚れの分解
- 紫外線によって発生した活性酸素が汚れを分解し、塗膜への定着力を弱める。そのため、降雨などで汚れが落ちやすい。
- 静電気の解消
- 外壁に発生する静電気を解消し、ちりやほこりの吸着を防ぐ。
塗料による汚れが付きにくい仕組みの違い
塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ汚れが付きにくい仕組みが異なります。
代表的な塗料の防汚性能の仕組みをまとめました。
- 塗料の種類
- 特徴
- 汚れにくい仕組み
- 耐用年数
- 施工単価(m²あたり)
- アクリル塗料
- 安価だが耐久性が低い。
- 特になし※ピュアアクリル塗料など機能性アクリル塗料は除く
- 3~6年
- 1,500円~2,000円
- ウレタン塗料
- 安価で種類が豊富。耐薬品性に優れる。
- 特になし※硬化剤の種類によって異なる
- 6~8年
- 1,700円~2,500円
- シリコン塗料
- シリコン樹脂を原料とし、耐候性と低汚染性に優れる。現在の主流。
-
- 親水性(汚れの定着を防ぎ、雨水で洗い流す)
- 7~10年
- 2,300円~3,000円
- ラジカル塗料
- ラジカルの発生を防ぎ、劣化を遅らせることで優れた耐候性を発揮する。
-
- ラジカル制御
- 約15年
- 2,200円~4,000円
- フッ素塗料
- 炭素原子にフッ素原子が強力に結合し、耐候性に優れる。
-
- 非粘着性(汚れを弾く)
- 約15年
- 3,000円~5,000円
- 無機塗料
- 炭素を含まない無機物を主成分とした樹脂を原料とし、紫外線による劣化を遅らせる。
-
- 親水性(汚れの定着を防ぎ、雨水で洗い流す)
- 静電気が起こりづらい
- 約15年
- 5,000円~5,500円
- 光触媒塗料
- 塗料に含まれる酸化チタンが活性酸素を発生、有機有害物質を分解する。
-
- 親水性(汚れの定着を防ぎ、雨水で洗い流す)
- 活性酸素が汚れを分解
- 約20年
- 3,500円~5,500円
低汚染塗料のメリット・デメリット
では次に塗装箇所に関する記載事項についてです。塗装する部分は外壁や屋根以外にも付帯部分がたくさんあり、それぞれに別途費用がかかります。外壁や屋根については「下塗り」「中塗り・上塗り」といった形で書かれており、そちらについては塗料の種類も含めて次項でご紹介します。ここでは、付帯部分に関する表記についてご紹介します。
低汚染塗料のメリット
- 汚れが付きにくい
- 低汚染塗料は親水性が非常に高い性質があります。
そのため、雨が降ると外壁と汚れの間に雨水が入り込み、汚れを洗い流してくれます。これを「セルフクリーニング」効果と呼びます。
セルフクリーニングにより雨だれも付きにくく、美しい外観を長期間保てます。
また、親水性以外にも前項で紹介した機能を持つ低汚染塗料もあります。
- カビやコケが繁殖しにくい
- 低汚染塗料が持つ高密度の塗膜は、カビやコケの胞子が外壁に根を張ることを防ぎます。
カビやコケは、一度繁殖すると外壁内部まで侵入し建物の強度を下げてしまいます。
カビやコケが繁殖しないことは、外壁の耐久性を高めるうえでも重要なポイントです。
- 優れた耐久性
- 外壁が汚れにくくなると塗料の劣化が遅くなるため、外壁塗装の耐久性が上がります。
一般的な塗料の耐用年数は約10年ですが、低汚染塗料は12〜15年に設定されているものが多く、そのぶん外壁塗装の回数を減らせるためメンテナンスコストを抑えられます。
低汚染塗料のデメリット
一方で、デメリットとして以下のことが挙げられます。
- ひび割れを起こしやすい
- 低汚染塗料は、通常の塗料よりも弾性が低い塗料です。
弾性とは、塗料自体の伸びる機能のこと。
低汚染塗料は、汚れを落としやすくするために弾性機能が抑えられているため、塗料が伸びずにひび割れを起こしやすいのです。
- 価格がやや高い
- 低汚染塗料は、通常の塗料よりも価格が高めです。
そのため、初期費用は一般的な塗料と比較してやや高額になります。
代表的な低汚染塗料
- 商品名
- メーカー名
- 樹脂
- 特徴
- 超低汚染リファイン1000Si-IR
- アステックペイント
- シリコン
-
- 美観保持に特化した低汚染塗料
- 遮熱機能を持つ
- シリコンREVO
- アステックペイント
- アクリルシリコン
-
- シリコン成分が一般的なシリコン塗料の3倍
- ラジカル制御型白色顔料使用
- ファインシリコンフレッシュ
- 日本ペイント
- アクリルシリコン
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- 特殊セラミック成分による高い親水性
- ニオイが少ない
- アレスアクアシリコンACⅡ
- 関西ペイント
- アクリルシリコン
-
- 緻密で強靭な塗膜により低汚染を実現
- 独自開発したマイクロ反応硬化技術を採用
- クリーンマイルドSTシリーズ
- エスケー化研
- ウレタン・フッ素・シリコンなど
-
- 独自のセラミック複合技術で超低汚染性を有する
- セラタイトSi
- エスケー化研
- アクリルシリコン
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- 親水性によるセルフクリーニング効果
- 低帯電性により汚れが付着しにくい
- ビーズコート
- スズカファイン
- アクリルシリコン
-
- ロータス効果による超撥水性
- 建物内部の水蒸気を外へ逃す透湿性
外壁塗装で低汚染塗料を選ぶ時はここに注意!
外壁塗装で低汚染塗料を選べば、キレイな状態が長続きし、メンテナンスコストも安く済むのでおすすめです。
しかし、いくつか注意すべきポイントがあります。
以下の注意点を確認した上で、外壁塗装に低汚染塗料を使用するかどうか検討しましょう。
- 注意点雨があたらない場所はきれいにならない
- 低汚染塗料は親水性が高く、外壁と汚れの間に雨水が入り込み汚れを洗い流します。
そのため、雨があたらない外壁ではこの「セルフクリーニング」効果は見込めません。 - 注意点まったく汚れないわけではない
- 汚れのたまりやすい凹凸があるデザインの外壁や、幹線道路の近くのような汚れやすい環境にある場合など、低汚染塗料を使用していても汚れが付きやすい場合があります。
ただし、低汚染塗料は汚れを取り除きやすい塗料でもあるため、汚れている場所を見つけたら早めに水拭きなどで清掃すればきれいになることが多いです。 - 注意点職人の技術が必要
- 外壁塗料の塗りムラなどがあると、そこに汚れがたまり、低汚染塗料を使用していても汚れていきます。
塗りムラのないように塗布する職人さんの技術が必要です。