落ち着いた印象の建物にしたいなら、
フラット塗装がおすすめ!
外壁塗装で迷いやすいことのひとつに「艶」があります。
艶の有無は見た目の印象だけでなく、耐久性やメンテナンスにも違いがあるため、正しい知識を持ってしっかり検討したいですね。
ここでは、フラット塗装とは何か、メリット・デメリットのほか、フラット塗装が向いている建物、フラット塗装を選ぶときの判断基準などをわかりやすく解説しています。
フラット仕上げと光沢仕上げの比較も行っているので、艶の有無で迷ったら、ぜひ参考にしてください。
フラット塗装って?

フラット塗装とは、光沢を抑えたマットな質感に仕上げる外壁塗装のことです。
施工会社や職人さんの間で多く使われる言葉で、一般的には「艶なし塗装」と表現します。
なお、似たような言葉に「フラット塗料」「フラット仕上げ」があります。
外壁塗装に関する話の中では、どれも「艶なし塗料で仕上げたマットな表面の塗装」を指すことがほとんどですが、厳密には意味が異なります。業者との打ち合わせ時に正しく内容を確認できるように、それぞれの言葉の内容・意味を理解しておきましょう。
フラット塗装とは
- 意味
-
フラット塗料を使った塗装作業、または艶消し仕上げを意図した塗装工程
- 注意点
-
「フラット塗装」という言葉はカタログや業界標準の用語というより、施工会社や職人さんが説明用に使うことが多い。
- 使い方例
-
「今回は艶を出さないフラット塗装で仕上げます」
「フラット」というと「平らな面」をイメージするかもしれませんが、外壁塗装では「艶なし塗料を使った塗装」を指します。
フラット仕上げとは
- 意味
-
完成後の外壁の見た目・質感(マットな仕上がり)
- 特徴
-
光沢がない、落ち着いた雰囲気、反射が少ない
- 使い方例
-
「フラット仕上げにすると和風住宅にも合う」
凹凸がなく光の反射もないため、どこから見ても「見た目が均一のマットな状態」に仕上げることを指します。
艶なし塗料を使用して平らな面に仕上げることが重要です。
平らな面の仕上げでも、艶あり塗料を使用した場合は「フラット仕上げ」とは言いません。
フラット塗料とは
- 意味
-
艶なし(マット)タイプの塗料そのもの
- 特徴
-
光の反射率が5%以下
- 使い方例
-
「この外壁にはフラット塗料を使っています」
塗料の多くは艶ありです。そこに「艶調整剤」という添加剤を入れ、艶を調整しています。
艶あり、艶無し塗料の違いについて詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装の塗料、艶ありと艶なし、どっちがいいの?違いのまとめ
それぞれをまとめると、以下のようになります。
フラット塗装 | フラット仕上げ | フラット塗料 | |
---|---|---|---|
内容 | 作業・工程 | 完成後の状態・見た目 | 材料(塗料の種類) |
意味 | フラット塗料を使った塗装作業のこと/艶消しにする塗装工程のこと | 塗装の最終的な仕上がりの質感を指す | 艶消し、マットに調整された塗料のこと |
特徴 | 艶を抑えた塗膜を均一に仕上げられる/光の反射をコントロールできる | 光沢が無くしっとりとしたマット感のある見た目 | 表面に光沢を出さずに反射を抑える/落ち着いた見た目になる |
使い方 | 外壁をフラット塗装で仕上げる | 外壁をフラット仕上げにすると雰囲気が落ち着く | 外壁塗装をするときにフラット塗料を使う |
上記のような違いがあるため、ひとつの文章にすべての用語を入れると、「フラット塗料(材料)を使って、フラット塗装(工程)を行い、フラット仕上げ(完成後の状態)になる」と言えます。
- どうして「艶なし」を「フラット」と言うの?
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「フラット」というと、「平らな面」をイメージする方も多いと思います。
艶なし塗料で塗装した面は光の反射がなく、光沢のある面と違ってどこから見ても一定でマットな面に見えます。見た目に凹凸や光の反射がなく、平坦な印象に見えるため、「フラット」と呼ばれるようになった、と言われています。
外壁塗装のフラット塗装のメリット
艶なし塗料を使ったフラット塗装には、以下のようなメリットがあります。
- 落ち着いた外観になる
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艶なし塗料は光の反射を抑えたマットな仕上がりになります。
光を反射してピカピカと輝く艶あり塗料と比較した場合、フラット塗装は周囲と馴染んで落ち着いた印象を与えます。
- 高級感・重厚感を演出できる
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落ち着いた外観は、高級感や重厚感のある建物を演出できます。
艶なしの外壁は瓦や木部との相性もよく、和風の建物にもおすすめです。しっとりとした雰囲気の建物になります。
- 汚れや小さなキズが目立ちにくい
-
艶あり塗料の場合は、汚れやキズの部分だけ光沢がなくなり、目立ってしまうことがあります。
フラット塗装では光の反射がないため目立ちにくく、メンテナンスの頻度を少なくしたい方にもオススメです。
- 風合いやイメージが変化しにくい
-
光沢のある艶あり塗料は、塗装後数年たつと艶が消え始めるため、建物の風合いが変化していきます。
フラット塗装ではマットな質感の外壁のため経年劣化を感じにくく、塗装直後の風合いを長く残すことができます。
外壁塗装のフラット塗装のデメリット
フラット塗装のデメリットとして、以下の5点が挙げられます。
- 汚れが付きやすい
-
フラット塗装は表面がザラザラとした手触りになります。その分、ツルツルの艶あり塗料よりも汚れが付きやすいです。
- 艶あり塗料よりも耐候性が劣る場合がある
-
ほとんどの塗料はもともと「艶あり」で作られており、そこに艶を抑える添加剤を加え、「艶なし塗料」を作成しています。
そのため、塗膜の性能は添加物を加えていない塗料よりも劣ることがあります。
なお、最近では紫外線吸収剤やラジカル制御剤などを塗料に添加し、耐候性の低さをカバーしている艶なし塗料も多いです。
- 色あせがやや早く進行しやすい
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光沢のある塗料に比べ耐候性がやや劣るため、色あせなどの劣化症状もやや早く進行する傾向があります。
- 色の選択肢が少ない
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種類や流通量が艶あり塗料よりも少ないため、艶あり塗料よりも色の選択肢は少なめです。
- 費用が割高になる
-
艶あり塗料に添加剤を混ぜて艶なし塗料を作り出しているため、添加剤の分、費用が割高になります。
金額は艶あり塗料のおよそ1.1~1.2倍です。
フラット塗装が向いている建物

- 和風住宅や落ち着いた洋風住宅
-
艶を抑えた外壁は、落ち着いた印象や伝統的な雰囲気を強調できます。
- 高級感を出したい建築物
-
派手さを抑えることで、上質で洗練された印象を与え、高級感のある建物を演出できます。
- 景観に調和させたい建物
-
ピカピカと主張しないため、周囲の環境や街並みに馴染み、自然で目立ちすぎない外観になります。
- モダンなデザインの住宅や店舗
-
シンプルでマットな質感の外壁になるため、現代的でスタイリッシュなデザインと相性が良く、落ち着きがありながらもオシャレな印象を与えます。
フラット塗装は落ち着いた印象や高級感を与える一方で、周囲の建築物や自然と馴染みやすい特徴も持っています。
そのため、例えば美術館や図書館などの文化施設、教育施設、自然に囲まれた別荘・リゾート施設などにもおすすめです。
フラット塗装の施工ポイント
フラット塗装を行う際は、以下の点に注意が必要です。
- 下地処理を丁寧に行う
-
フラット塗装は光沢がないため、下地の凹凸や補修跡がそのまま表面に出やすいです。
下地処理を丁寧に行う業者に依頼することが重要です。
- 耐候性の高いフラット塗料を選ぶ
-
艶なし塗料は、艶調整剤という添加物を艶あり塗料に混ぜて作られています。
その分、機能性が落ちるため、耐候性の高い塗料を選びましょう。
- 定期的なメンテナンスが必要
-
フラット塗装は汚れが目立ちにくい一方で、汚れ自体は付きやすい塗装です。
定期点検をしっかり受け、早めのメンテナンスを行うことで、美観を長く保てます。
フラット仕上げ vs 光沢仕上げ

外壁塗装をフラット仕上げにするか光沢仕上げにするか、迷ってしまう方も多いと思います。
ここでは判断しやすくなるよう、それぞれを比較してみました。どちらが自分の希望に合っているかを検討する材料のひとつにしてください。
建物に対する自分の希望が多く叶う方を選ぶことも、考え方のひとつですね。
フラット仕上げ | 光沢仕上げ | |
---|---|---|
建物の雰囲気 | 落ち着いた住宅 | 華やかで明るい住宅 |
周囲の環境 | 自然や伝統的街並みに馴染ませたい | 都会的でモダンな街並みに映えさせたい |
汚れの付きやすさ・目立ちやすさ | 汚れは付きやすいが目立ちにくい | 汚れが付きにくく、雨で流れて落ちやすい |
与える印象 | 上品・落ち着き・控えめな高級感 | 華やか・明るい・存在感のある高級感 |
使いたい色 | 一般的なカラーを希望 | 強いこだわりがある |
外壁塗装でフラット仕上げを選ぶ判断基準
外壁に光沢があるかないかで、周囲に与える印象は大きく変わります。
艶なし塗料を使うフラット仕上げでは、使う色にもよりますが、和風・洋風問わず落ち着いた印象を与える建物になります。
また、住宅密集地や古くからある町などでは、フラット仕上げの方が景観や周囲の建物に調和することが多いです。
なお、フラット塗装は艶がない分、光の当たり方や時間帯によって見え方が大きく異なります。
屋内では明るく見えた色が太陽光の下では沈んで見えたり、光沢仕上げに比べて色が濃く見えたりします。
フラット仕上げを検討する場合には、A4サイズなど大きめのサンプル板を使い、太陽光の下で必ず見え方を確認してください。