フッ素塗料のメリット・デメリットなど詳しく解説!
外壁塗装の塗料にはさまざまな種類がありますが、フッ素塗料は機能性の高さからとても人気のある塗料です。
ここではフッ素塗料とはどんな塗料なのか、メリット・デメリット、使用できる外壁材などを詳しく解説します。
フッ素塗料を使った外壁塗装が向いているのはどんな場合か、使用する時の注意点についてもまとめました。
フッ素塗料とは?特徴とメリット・デメリット
フッ素塗料とは、フッ素樹脂を配合した塗料のことです。
フッ素塗料は汚れにくく耐久性に優れており、東京スカイツリーやレインボーブリッジ、六本木ヒルズなど有名建築物にも使用されています。
身近なところでは、虫歯予防のための歯のフッ素コーティングや、フライパンのフッ素加工(=テフロン加工)などがあります。
フッ素塗料には、以下のような特徴があります。
- ①耐久性
- フッ素塗料は「高耐久性塗料」とも呼ばれ、経年劣化しにくく高品質を維持します。
- ②耐候性
- 「耐熱性」とも言われる特徴で、フッ素塗料はほかの一般的な塗料に比べて紫外線や風雨によるダメージを受けにくく、色褪せしにくい塗料です。
- ③親水性
- 水に濡れやすく密着しやすい性質のため、汚れと塗膜の間に雨水が入り込み、汚れを洗い流してくれます。汚れが落ちやすいため「低汚染性」「耐汚染性」とも言われます。
- ④防藻性・防カビ性
- 美観を損ねる藻やカビは、湿度の高い壁や太陽の光があまり当たらない場所に発生します。フッ素塗料は塗膜自体に防藻性・防カビ性を持っているため、藻やカビの発生を抑えることができます。
- ⑤耐摩耗性
- 塗料は経年劣化によって摩耗し、光沢が失われていきます。現在主流のシリコン塗料は10年で20%光沢が減少すると言われていますが、フッ素塗料は耐摩耗性に優れており、減少率は20年で10%程度と言われています。
フッ素塗料のメリット
上記のような特徴から、フッ素塗料には以下のようなメリットがあります。
- ①耐用年数が長い
- 耐久性が高く、非常に長い耐用年数を誇ります。フッ素塗料の種類にもよりますが、多くは15〜20年程度の耐用年数が設定されています。
無機塗料や光触媒塗料などフッ素塗料よりも長い耐用年数の塗料はありますが、大手メーカーが製造している塗料かつ塗料自体に耐用年数以上の歴史がある点において、フッ素塗料の耐用年数に対する信用度は抜群に高いと言えます。
- ②メンテナンスコストが低い
- 塗料の耐用年数が過ぎるころには、再び塗装の必要があります。
フッ素塗料は耐用年数が長いため、ほかの一般的な塗料よりも塗装回数を減らすことができ、長い目で見た場合のメンテナンスコストは低くなります。
- ③光沢(ツヤ)が長持ちする
- フッ素塗料の持つ「耐摩耗性」により、光沢(ツヤ)が長持ちします。
そのため、光沢のあるピカピカの美しい外観を長く楽しめます。
フッ素塗料のデメリット
メリットがある一方で、以下のようなデメリットがあります。
- ①高価
- フッ素塗料は塗料自体の価格が高く、初期費用がかかります。
現在主流のシリコン塗料の場合、1m²あたりの単価は1,600〜2,200円であるのに対し、フッ素塗料は1,800〜3,600円と高額です。塗装面積が広くなるほど、価格差は顕著に現れます。
- ②ツヤあり塗料しかない
- フッ素塗料は光沢(ツヤ)ありの塗料のみです。そのため、光沢のないマットな質感の外壁にしたい場合はフッ素塗料を選べません。
調整剤を入れることで3分艶まで抑えることができますが、塗料の耐久性が低くなってしまいます。ツヤについて、詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装の塗料、艶ありと艶なし、どっちがいいの?
- ③ヒビが入りやすい
- フッ素塗料は塗膜が硬い塗料です。そのため、ヒビが入りやすいと言われています。
現在では技術の進歩により昔ほどヒビが入りやすいことはありませんが、モルタル外壁など動きの大きい外壁に塗装する場合は「弾性」「微弾性」のフッ素塗料を選びましょう。
フッ素塗料の相場・耐用年数比較表
住宅の外壁塗装に使用されることの多い塗料とフッ素塗料の価格相場・耐用年数を比較しました。
塗料 | 価格相場(1m²あたり) | 30坪物件の塗装費 | 耐用年数 |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 1,000~1,400円 | 60万円~ | 3~6年 |
ウレタン塗料 | 1,200~1,800円 | 70万円~ | 6~10年 |
シリコン塗料 | 1,600~2,200円 | 85万円~ | 7~13年 |
フッ素塗料 | 1,800~3,600円 | 110万円~ | 15~20年 |
代表的なフッ素塗料
代表的なフッ素塗料について、商品名と価格、使用できる外壁材をまとめました。
商品名 | メーカー | 価格(m²あたり) | 適応外壁材 |
---|---|---|---|
水性サーモアイウォールF | 日本ペイント | 3,750円~ | コンクリート、モルタル、ALC、スレート、金属パネル、窯業系サイディング、金属サイディングなど |
セラMフッソ | 関西ペイント | 4,000円~ | コンクリート、モルタル、鉄、亜鉛メッキ、アルミなど |
クリーンマイルドフッソ | エスケー化研 | 2,800円~ | コンクリート、モルタル、ALC、スレート、GRC、各種サイディングボード、鉄、亜鉛メッキ、アルミ、ステンレスなどの金属 |
フッ素塗料が向いているのはどんな場合?
以下のような方は、フッ素塗料を使用した外壁塗装が向いていると言えます。
- 塗り替え回数を減らしたい
- フッ素塗料は耐用年数の長い塗料のため、外壁塗装の塗り替え回数が少なく済みます。
また、長期的に見た場合は塗り替えに関するメンテナンスコストも下げられます。
- 光沢のある仕上がりにしたい
- ピカピカの光沢がある外壁にしたい場合、フッ素塗料がおすすめです。
耐候性が高いため、長期間光沢が保たれます。
- 広い家に住んでいる
- 広い家は塗料を塗る面積も広くなり、外壁塗装に係る費用が高額になります。
フッ素塗料のような耐用年数の長い塗料を使うと、塗装回数を減らせるためトータルコストを下げられます。
- 劣化しやすい部分だけを強化したい
- 屋根や付帯部は劣化の早い場所です。中でも特に雨どいなどの付帯部は、実は外壁よりも劣化が早いと言われています。
仮に付帯部のみの塗装・補修の場合でも、足場を組む必要があり費用がかなりかかってしまうため、耐久性の高いフッ素塗料がおすすめです。
塗装可能な外壁材か確認しよう
先に紹介した代表的なフッ素塗料にも記載していますが、塗料によって適応している外壁材が異なるため事前にしっかり確認しましょう。
フッ素塗料の多くは、以下のような外壁材に適応しています。
- サイディング
- モルタル
- ALC
- コンクリート
- トタン
ただし、モルタルは動きのある外壁材のため、塗膜の硬いフッ素塗料はヒビ割れをおこす場合があります。
モルタル外壁にフッ素塗料を塗装する場合は、弾性の高いタイプを使用しましょう。
フッ素塗料を使う時はここに注意!
機能性が高く、耐用年数も長いフッ素塗料。
そのメリットを十分に活かすには、以下の点に注意してください。
- 耐候性の長いフッ素塗料を選ぶ
- 一口にフッ素塗料といっても、数多くの種類があります。
どれを選べばいいか迷った時は、耐候性の長い塗料を選びましょう。
促進耐候性試験の結果(光沢保持率80%になるまでの時間)が長い塗料ほど、耐候性能が高く、美観が長く保たれます。
- 経験豊富な優良業者を選ぶ
- フッ素塗料は塗膜が硬く伸びにくいため、塗りにくい塗料と言えます。
そのため、技術のない職人さんが塗装すると、ムラになったり機能性がきちんと発揮されなかったりします。
フッ素塗料を使った塗装の経験・実績豊富な優良業者を選びましょう。