特殊塗料はどんな塗料?
機能、外観別に特徴や種類を紹介
外壁塗装で使われる「特殊塗料」をご存知でしょうか。
特殊塗料は、長持ちする外壁にしたい方、デザイン性の高い外壁にしたい方などに人気の塗料です。
一般的な塗料と何が違うのか、特殊塗料の種類や特徴について詳しく解説します。
外壁塗装で使用される「特殊塗料」って何?
特殊塗料とは
外壁塗装では、耐用年数が10年程度で価格とのバランスが取れたウレタン系塗料やシリコン系塗料が一般的な塗料です。これに対して近年の塗料開発の進歩によって生まれた比較的新しい塗料が特殊塗料と呼ばれる塗料です。
特殊塗料の特徴
- ①機能性
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一般的な塗料の性能に加えて、防水、遮熱・断熱、セルフクリーニングなど特殊な機能が追加された塗料です。
以前は大型の商業施設や高層ビルなどで使われることが多かった塗料ですが、一般住宅でも使われるようになりました。
- ②デザイン性
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指定色でムラなく均一に塗る一般的な塗装とは違い、デザイン性の高い外壁に仕上げる特殊塗料です。こちらも価格は高めですが、職人の塗装技術を組み合わせることで、オリジナリティのある外壁に仕上げることが可能です。また機能面でも優れているデザイン性の高い塗料も開発されており、一般住宅の外壁塗装で取り入れるケースが増えています。
特殊塗料が選ばれる理由とは
いくら機能性やデザイン性が高いといっても、価格が高いと塗り替え時に使用するのは現実的ではないと考える方もいると思います。しかし一般住宅でも特殊塗料が使われるケースは増えています。その理由は何なのでしょうか。
外壁塗装工事では、工事をする際に足場を組んで職人が塗装を行います。工事のたびに足場代や塗料の費用、そして職人に支払う工賃が発生します。
塗料の費用は種類によって違いがありますが、足場代や工賃などの費用は塗料の種類で大きく変わることはありません。
- 安い塗料を使った場合
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安い塗料は工事費用を抑えることができます。しかし耐用年数が短いため、短期的なスパンで工事を行うことになります。
20年というスパンでみてみると2〜3回の工事が必要です。
- 特殊塗料を使った場合
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特殊塗料は価格が高めなので、1回の工事費用は高くつきます。しかし耐用年数が長いため、長期的にみると工事の回数を減らすことができます。
20年というスパンでみてみると1回の工事で済ませることも可能です。
工事回数を少なくできれば、結果的に費用を安く済ませることができます。
こうした考えが広まり、特殊塗料を選ぶケースが増えているのです。
特殊塗料の種類と特徴
【機能編】特殊塗料7つを紹介
- 防水塗料
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外壁表面を水や湿気から保護し、建物内部への水の侵入を防ぐ役割のある塗料です。
ゴムのように伸縮する弾性に優れており、硬い素材の外壁のヒビ割れを防ぐことができます。
モルタル外壁や、目地が等間隔にあるサイディング外壁などにおすすめです。
防水塗料について、詳しくはこちらをご覧ください。
「防水塗料」ってどんな塗料?
- 遮熱・断熱塗料
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- 遮熱塗料
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外壁に当たる熱を反射して遮熱する塗料です。
太陽の光を反射する機能により、室内の温度上昇を防ぎます。
夏場の室内の暑さ対策に向いています。
- 断熱塗料
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外壁の熱伝導を最小限に抑える塗料です。
夏は外の暑さを室内に伝えず、冬は室内の暖かさを外に逃がさないため、一年を通して快適な温度を保つことができます。光熱費の削減もできます。
遮熱・断熱塗料について、詳しくはこちらをご覧ください。
断熱塗料と遮熱塗料の違いはなに?どっちがいいの?
- フッ素塗料
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高い耐久性と汚れにくさを兼ね備えた塗料です。
空気中の汚れやホコリが塗膜に付着しても雨で汚れを洗い流す効果があるため、長期間、外壁をきれいな状態で維持することができます。防カビ、防藻性も高く、カビや藻の発生を抑えることができます。
フッ素塗料について、詳しくはこちらをご覧ください。
「 フッ素塗料」ってどんな塗料?
- 無機塗料
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ガラスや鉱物など無機物が配合された塗料です。
塗料の中で最も耐久性が高いともいわれ、美観性にも優れている塗料です。
耐久性が高い理由は、劣化の原因となる有機物がほとんど含まれていないためです。菌が繁殖しにくいメリットもあります。
無機塗料について、詳しくはこちらをご覧ください。
「無機塗料」ってどんな塗料?
- 光触媒塗料
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紫外線を利用して、外壁に付着した汚れを分解し雨水で洗い流す「セルフクリーニング機能」がある塗料です。
劣化の最大原因である紫外線を利用する塗料なので、劣化スピードが遅く耐久性が高いのも特徴です。
汚れ以外にもカビや藻、細菌なども分解し、その発生自体を抑制することもできます。また空気中の汚れを除去する空気清浄機能もあります。
光触媒塗料について、詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装で注目されている光触媒ってどんな塗料?メリットデメリットを解説
- ラジカル塗料
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各メーカーが開発に力を入れているジャンルの塗料です。
外壁の劣化原因となる「ラジカル」の発生を抑える働きがあり、劣化によって生じるチョーキング現象が起こりづらくなります。また光沢があるため汚れがつきにくく、耐久性が高くても価格がそこまで高くない点もメリットです。
ラジカル塗料について、詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装 ラジカル塗料(ラジカル制御型塗料)ってどんな塗料?
- ピュアアクリル塗料
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アクリル塗料から不純物を取り除いて、アクリルの純度を高めた塗料です。
ゴムのように伸縮する弾性に優れており外壁材にヒビ割れが起きても塗膜が伸びて、劣化の原因となる水の侵入を防ぎます。
高い防水性と、フッ素塗料並みの高い耐久性も合わせもつ塗料です。
ピュアアクリル塗料について、詳しくはこちらをご覧ください。
「アクリル(100%)塗料」ってどんな塗料?
【外観編】特殊な意匠性塗料とは
デザイン性の高い外壁に仕上げられる塗料に特殊な意匠性塗料があります。
単色で塗装しただけの外壁に比べて見た目に差をつけられるのが特徴です。
一般的な塗装よりも手間や費用がかかりますが、リフォームの際に外壁の一部や玄関周り、外溝部分に取り入れて見た目も雰囲気もガラッと変える方も多く、人とは違うこだわりの外壁に変えたい方に人気です。
また意匠性塗料は耐久性が高いものが多く、外観を長期間きれいな状態で維持することが可能です。
- 意匠性塗料を使った塗装方法
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- 意匠性塗料で塗装
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意匠性塗料は、石粒が混じったような仕上がりや、砂壁、土壁調などさまざまな種類があります。
こうしたデザインの塗装はこれまで左官仕上げでやってきましたが、意匠性塗料を使用すれば塗装工事で仕上げることができます。
- 意匠性塗料を使って特殊な方法で塗装
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意匠性塗料と職人技の組み合わせで塗装する方法です。
刷毛を使って筋模様をつける、コテでパターンをつくるなど道具を使うことで、オリジナリティのある外壁に仕上げることができます。
- 意匠性塗料の種類
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意匠性塗料は、いろいろなメーカーから販売されていますが、こちらでは
- モルタル外壁におすすめのジョリパット
- サイディング外壁におすすめのサイディング用特殊塗料
について紹介します。
ジョリパットとは
ジョリパットは、アイカ工業が販売している壁面用塗材です。
基本的にモルタルの下地の塗装で使用します。
- ジョリパットの特徴
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- ①豊富なデザイン
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ジョリパットはさまざまな種類がある塗材ですが、すべてを合わせると「180以上のデザインと100以上のカラーバリエーション」があります。
同じデザインでも、コテや吹き付け、型押しローラーなど施工方法を変えることで違った仕上がりになります。それを100以上のカラーバリエーションと組み合わせることで、幅広いデザイン、カラーから選ぶことができます。
- ②機能性の高さ
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耐用年数が15〜20年といわれ、高機能塗料に匹敵する耐久性を持ちます。また粘性も高めなので、ひび割れを起こしにくいメリットもあります。
光触媒タイプや不燃性タイプなどさまざまな種類が揃っているので、お住まいの地域の環境にあったジョリパットを選ぶことができます。
- ③安全性の高さ
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JIS工業規格による最高等級である「F☆☆☆☆(フォースター)」を獲得してます。
シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの放出量が少なく、人体や環境にやさしい素材でつくられている安全性の高さも特徴です。
- ジョリパットは塗り替えられる?
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ジョリパットは基本的に高圧洗浄ができないため、塗り替えには注意が必要です。
塗り替えをしたい場合は、同じアイカ工業から販売されている「ジョリパットフレッシュ」を使用するのがおすすめです。ジョリパットの質感や風合いをそのままいかしながら塗り替えることができます。
サイディング用特殊塗料とは
- 多彩調のサイディング用特殊塗料とは
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サイディング外壁は、パネルを組み合わせて貼り付けている外壁です。
デザインが豊富で木目調やタイル・レンガ調、石積柄などさまざまな素材があります。
これまでのサイディング外壁の塗り替えは、
- 単色で塗装する
- クリアで塗装する
の2択でした。
一色で塗りつぶすとせっかくのサイディングの模様が目立たなくなり、地味な外壁になるデメリットがありました。
そこでサイディングのデザインをいかした塗装方法として、サイディングの目地(へこみ部分)と表面(浮き出た部分)の色を変えて塗る方法があります。
その際に使用する塗料でおすすめなのが多彩調のサイディング用特殊塗料です。
多彩調のサイディング用特殊塗料は、これまで吹き付け塗装でしか表現できなかった石目調の塗装を、ローラー施工でも可能にした特殊塗料です。ローラー施工ができることでサイディングの表面に塗装でき、デザイン性の高いサイディング外壁に塗り替えることができます。
- 多彩調のサイディング用特殊塗料の特徴
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- ①デザイン性の高さ
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本物の石材のような風合いのデザインが特徴です。
- ②耐久性の高さ
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ほとんどの塗料が耐用年数15年前後で、長いものは20年の塗料もあります。
- ③安全性の高さ
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水溶性で臭いがなく、環境にやさしい塗料です。
多くの塗料がJIS工業規格による最高等級である「F☆☆☆☆(フォースター)」を獲得しています。
意匠性塗料で外壁塗装をする際の注意点
- 職人の技術でクオリティに差が出る
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人の技術が必要な塗装方法の場合、職人の腕次第で仕上がりのクオリティが変わります。慣れていない職人が施工すると色ムラの原因になるなど見た目や耐久性にも影響が出る可能性があります。
- 施工費用が高くなりやすい
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意匠性塗料は一般的な塗料よりも価格が高めです。また塗装作業が手作業であり手間がかかることから工期が長くなるため、通常の外壁塗装工事よりも費用が高くなります。
- デザインによっては汚れやすい
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表面が凸凹しているデザインや、ざらつきのあるデザインの意匠性塗料は、汚れがつきやすいデメリットがあります。特にジョリパットは高圧洗浄に適していないため、定期的に水洗いをして汚れを溜めないようにする必要があります。
- 業者によっては取り扱いがない
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意匠性塗料は一般的な塗料と比べて工程が異なる場合があり、専門的な技術が必要です。そのためどの業者でも取り扱っているわけではありません。
外壁塗装を意匠性塗料で行いたい場合は、経験や実績が豊富な業者を選びましょう。