外壁塗装のクーリングオフ、できる?できない?チャートで確認!
「外壁塗装を契約したけれど、相場よりもものすごく高かったので解約したい」。そんな時はクーリングオフしましょう。
外壁塗装工事でも、条件に合致すればクーリングオフが可能です。
ここでは、クーリングオフ制度について、外壁塗装工事でのクーリングオフができる/できない条件、手続き方法などを詳しく解説します。
事例も紹介しているので、ぜひご覧ください。
そもそもクーリングオフってどんな制度?
クーリングオフとは「一定の期間内であれば、申し込みや締結した契約を無条件で解除できる」制度です。
英語では「Cooling-off=頭を冷やす」という意味で、「特定商取引法」という法律で詳しく定められています。
クーリングオフ制度を利用するには、取引内容によって以下のように適用期間が決められています。
期間は「正しく記載された申込書もしくは契約書のいずれか早い方を受け取った日を1日目」として考えます。
なお、申込書や契約書に不備があった場合、期間を過ぎていてもクーリングオフできることがあります。
適用期間 | 取引内容 |
---|---|
8日間 |
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20日間 |
|
なお、通信販売にはクーリングオフが適用されません。
外壁塗装でクーリングオフできる条件とは
外壁塗装でクーリングオフできる最低条件は「訪問販売であること」です。
前項で解説した「取引内容」の中で、外壁塗装が当てはまるものは「訪問販売」のみです。そのため、「訪問販売で契約した外壁塗装」以外は基本的にはクーリングオフできないと考えておきましょう。
訪問販売で契約し、かつ下記条件のいずれかに当てはまる場合はクーリングオフが可能です。
- 契約書を受け取ってから8日以内(受け取った日を含む)
- 申込者が自ら問い合わせをしたり、業者を呼び寄せたりしていない
- クーリングオフに関することが契約書に記載されていない
- 契約書の原本もしくはコピーを契約の際に受け取っていない
- 業者が意図的にクーリングオフできないと説明、もしくは嘘をついていた
- 契約書を受け取ってから8日以内(受け取った日を含む)
- 不備なく、正しく記載された契約書を受け取った日を1日目として、8日以内であればクーリングオフできます。
- 申込者が自ら問い合わせをしたり、業者を呼び寄せたりしていない
- 申込者が自分から電話・メールなどで問い合わせしたり、業者を呼び寄せて契約していたりなど、「能動的に行動」していない場合はクーリングオフできます。
- クーリングオフに関することが契約書に記載されていない
- 通常、クーリングオフに関しては契約書に赤字で記載されています。これがない場合、「契約書に不備がある」ことになり、8日の期限を過ぎていてもクーリングオフできることがあります。
なお、契約書に記載されていても、それが小さすぎる文字(8ポイント未満)の場合はクーリングオフの対象になります。 - 契約書の原本もしくはコピーを契約の際に受け取っていない
- 契約書を受け取っていない場合、8日の期限にかかわらずいつでもクーリングオフが可能です。
- 業者が意図的にクーリングオフできないと説明、もしくは嘘をついていた
- 業者が「クーリングオフできないように」嘘をついたり、威圧的にふるまったりして契約した場合はクーリングオフできます。
クーリングオフできないのはどんな時?
訪問販売がきっかけで外壁塗装を契約しても、以下に当てはまる場合はクーリングオフできません。
- 業者を呼んで見積もりを取った
- 最終的に事務所に赴いて契約をした
- 正しい契約書で契約し、8日間を過ぎてしまった
- 過去1年間に取引実績のある業者と契約した
- 日本以外の場所で契約した
最初のきっかけが訪問販売だったとしても、その後申込者が自分から業者を呼び寄せて見積もりを取っていたり、事務所に行って契約していたりする場合はクーリングオフが適用されません。
ただし、「無理やり事務所に連れていかれた」「やむを得ず事務所で契約した」場合は適用されることがあります。
クーリングオフ、できる?できない?一目でわかる確認用チャート
クーリングオフできる可能性が高い場合は、期限内に手続きを行いましょう。
上記のチャートでクーリングオフが難しい場合でも、クーリングオフ以外の方法で解約できることがあります。速やかに第三者機関に相談しましょう。
相談できる第三者機関について、詳しくはこちらをご覧ください。
クーリングオフは最終手段!優良業者の見極め方&相談先クーリングオフの手続き方法
クーリングオフの手続きは難しくありません。
「通知書」と呼ばれる解約する旨の書類を送付するだけで完結します。書類の形式に決まりはなく、ハガキや封書、FAXでもOKです。
「書類を送った」証拠を残すために、郵送の場合は特定記録、簡易書留、書留で送りましょう。業者へ送る通知書は、必ずコピーを取っておきます。
また、2022年6月1日からは「電磁的記録」でも通知が可能になりました。「電磁的記録」とは、電子メール、USBメモリなどの記録媒体、業者のホームページに設置されているクーリングオフ専用フォームが該当します。
クーリングオフの手続きは、次の手順で行います。
慌てる必要はありませんが、期限内に手続きができるよう速やかに実施しましょう。郵送の場合は、8日目の消印でも有効です。
【手順1】契約書を確認する
クーリングオフの適用期間に間に合うかどうか、不備がないか、契約書を確認します。
日数の数え方に注意
「適用期間:8日」の考え方として、「10日に契約したから18日がクーリングオフの期限である」と考えると期限を過ぎてしまいます。
クーリングオフの期限は「契約日当日を1日目とする」ため、10日に契約した場合は17日が期限になります。
「契約した曜日の翌週同曜日が期限」と覚えると簡単です。日曜日に行った契約のクーリングオフ期限は、翌週日曜日です。
【手順2】必要書類を揃える
クーリングオフには「通知書」が必要です。
通知書を作成するために、以下の書類を揃えましょう。
- クーリングオフ通知書作成に必要なもの
-
- 契約書の控え
- 契約を結んだ会社の資料
- 郵送の場合はハガキや封筒
【手順3】通知書を作成する
業者へ送る通知書を作成します。
通知書は、手書きでもパソコンで作成したものでもOKです。以下の内容を漏れなく記載し、完成したら自分用にコピーを取っておきましょう。
- タイトル:「通知書」や「契約解除通知書」など
- 契約解除したいの旨の意志表示:「契約を解除します」「クーリングオフします」など
- 契約年月日:契約書に記入されている日付
- 契約した商品名:契約書に書かれている「○○様邸 ○○塗装工事」などの工事名
- 契約金額:契約書に書かれている契約金額
- 契約会社名、担当者名:契約書に書かれている会社名と担当者名※クレジットカード払いの場合は、クレジット会社の社名も記載します。
- 申出日:クーリングオフの申し出を行う日付
- 住所、氏名:契約者自身の住所と氏名
文章のテンプレートは、以下の通りです。
○○株式会社 御中
契約解除通知書
次の契約を解除します。
契約年月日:○○○○年○月○日
商品名:○○様邸 外壁塗装工
契約金額:○○○○○○○
販売会社:○○株式会社 ○○営業所
担当者名:○○○○氏
なお、支払った代金○○○○○○○円を速やかに返金し、商品を引き取ってください。
申出日:○○○○年○月○日
契約者住所:○○県○○市○○町○丁目○○番地
契約者氏名:○○○○
確実に届けたいなら「内容証明郵便」で
内容証明郵便とは、誰から誰に、いつどのような内容の郵便を送ったのかを郵便局が証明してくれる郵便です。
相手が悪質な業者の場合は「郵便を受け取らない」リスクがあるため、内容証明郵便で作成すると安心です。
内容証明郵便を利用するときは、以下の点に注意しましょう。
- 同じ書面を3通用意しなければならない
- 文字数や使える文字に制限がある
- 内容証明郵便を取り扱っている郵便局からでないと発送できない
- 書き損じによる訂正には印鑑が必要
- 同じ書面を3通用意しなければならない
- 送付先、自分、郵便局用に同じ書面を3通用意します。
- 文字数や使える文字に制限がある
- 縦書き・横書きは問われませんが、用紙1枚につき、書ける文字数に制限があります。
- 縦書き…「1行20文字以内×1枚26行以内」
- 横書き…「26字以内×20行以内」「20字以内×26行以内」「13字以内×40行以内」のいずれか
- 内容証明郵便を取り扱っている郵便局からでないと発送できない
- どの郵便局からでも郵送できるわけではありません。内容証明郵便を取り扱っている最寄りの郵便局を事前に探す必要があります。
郵便局は、こちら(https://map.japanpost.jp/p/search/?&cond6=1&cond200=1&)から検索できます。画面下部にある「利用条件からさがす」から、内容証明に✔を入れて検索してください。
- 書き損じによる訂正には印鑑が必要
- 書面や宛先など、変更や書き損じによる訂正には印鑑が必要です。郵便局に持参する際には、印鑑も忘れずに持っていきましょう。
【手順4】通知書を送付する
手順3で作成した通知書を送付します。
送付方法によって、以下の点に注意しましょう。
- 郵送の場合
- 宛先は、業者の代表者宛てに送付します。
ハガキで送る場合は表裏の両方ともコピーを取っておきましょう。期限最終日の消印有効です。
郵送の記録も一緒に大切に保管してください。
- 電磁的記録の場合
- 電子メールの場合、送信トレイに残ったメールを保存しておきましょう。
業者のホームページに設置されたクーリングオフ専用フォームなどを利用した場合は、スクリーンショットを保存しておきます。
外壁塗装のクーリングオフ事例
- 事例①「今すぐ対応しないと危険だ」と言われて契約したが、高額だった
- 突然営業マンがチャイムを鳴らし、「外壁にヒビが入っている。今すぐ塗装しないと次の大雨で雨漏りするようになる」と言われて外壁塗装を契約した。「緊急対応費含めて250万円」で契約したが、夜帰宅した夫に報告したら「高すぎる。悪徳業者では」と言われてすぐにクーリングオフ手続きをした。
- ここが大事!
- 「訪問販売であること」と、「契約後すぐの手続き」が重要なポイントです。
契約書を交わした当日にクーリングオフ手続きを行っても問題ありません。解約したい場合は速やかに手続きを行いましょう。
- 事例②「工事開始済みなのでクーリングオフできない」と言われた
-
「新事業所開設で近隣に挨拶して廻っている。今なら外壁塗装を半額にでき、すぐに工事が始められる」と言われ、その場で契約書を交わした。2日後には工事が始まったが、明らかに手抜き工事だったのでクーリングオフを申し出たところ、「すでに工事が始まっているのでクーリングオフできない」と言われた。念のため消費生活センターに問い合わせたところ、クーリングオフできることがわかった。
- ここが大事!
- 「訪問販売であること」と、「不実の告知」がポイントです。
工事の開始状況は、クーリングオフの可否とは関係ありません。期限内であるためクーリングオフできるにもかかわらず、「できない」と業者が嘘をついたことにより、期限を過ぎてもクーリングオフが可能になる可能性が高いです。
また、すぐに第三者機関に問い合わせたことも賢明な判断でした。
クーリングオフは最終手段!優良業者の見極め方&相談先
訪問販売で外壁塗装を契約した場合、8日以内であれば解約できるクーリングオフ制度は消費者の強い味方です。
しかし、できればクーリングオフせずに済むようにしたいですね。
そのためには、優良業者かどうかをしっかり見極める必要があります。
優良業者の見極め方について、詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装の優良業者の見極め方!大手のメリットデメリットも解説しますまた、「クーリングオフできるかどうかわからない」「通知書の書き方に不備がないか」など、心配なことがある場合には以下に紹介する第三者機関に相談してみましょう。
- 消費生活センター/☎188(消費者ホットライン)
- 既に起きてしまったトラブルの対応策を助言・あっせんするための、身近な相談窓口を紹介しています。
消費者庁が設置している全国統一ダイヤルで、「188」に電話をかけて郵便番号を入力すると、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口を紹介してもらえます。 - 国民生活センター/☎03-3446-1623(消費者ホットライン平日バックアップ相談)
- 国民生活センターは総務省所管の独立行政法人で、消費生活センターとほぼ同じ機能を持ちます。
消費生活センターや最寄りの相談窓口に電話が通じない場合は、国民生活センターへ電話しましょう。 - 住宅リフォーム・紛争処理支援センター/☎ 0570-016-100(住まいるダイヤル)
- 国土交通大臣指定の相談窓口で、住まいに関するトラブルに専門家が対応しています。
一級建築士が電話相談に応じてくれるため、専門的なトラブルに対する相談も可能です。法律的な問題の場合は、必要に応じて弁護士からの助言も受けられます。