外壁塗装の塗り替え方法「吹付塗装」について詳しく解説!
外壁塗装の塗り替え方法のひとつ「吹付塗装」について、詳しく解説します。
塗り替え方法についてそれぞれの特徴とメリット・デメリット、吹付塗装の種類、向いているケースやメンテナンス方法など、吹付塗装での外壁塗装を検討する時に役立つ情報をたくさんご紹介します。
外壁塗装の塗り替え方法は3種類
外壁に塗料を塗る方法は、使用する道具によって以下の3種類に分けられます。
- ローラー塗り
- 吹付塗装
- 刷毛塗り
現在、一番多く使われているのは「ローラー塗り」ですが、どれかが一番優れているというわけではなく、塗装する場所や建物の環境、外壁材などによって職人が使い分けています。
ローラー塗り
毛やスポンジなどがついたローラーに塗料を含ませ、外壁にコロコロと転がすようにして塗る方法です。道具を使い、職人の手で直接外壁に塗料を塗るため「手塗り」とも呼ばれています。
メリットもデメリットもありますが、バランスの取れた塗装方法と言えます。
ローラー塗り特徴
- 塗料が飛び散りにくい
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ローラーに染み込ませた塗料を直接塗るため塗料が飛び散りにくく、建物と建物の間隔が狭い場所でも塗りやすいです。
現在では近隣との距離が近い建物が多いため、主流となっています。
- 塗料に無駄が出ない
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塗料の飛び散りが少なく、無駄な消費が少なくて済みます。そのため、塗料の規定量で塗装可能です。
- 作業音が静か
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機械を使わず手作業で塗装するため、機械音がなく比較的静かに塗装できます。
ローラー塗りメリット
- 道具が扱いやすい
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「ローラーに染み込ませた塗料を塗る」という比較的簡単な方法のため、熟練の職人でなくても塗りやすいです。
- 塗料に厚みを持たせやすい
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ローラー塗りは塗料に厚みを持たせやすく、多くの業者が採用している工法です。
塗料は既定の厚みに塗って仕上げることで、機能性を十分に発揮します。道具が扱いやすい一方で、ムラなく、既定の厚みで均一の仕上げるには職人の技術が必要です。
- 塗料の無駄が出にくい
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風や機械などの影響で塗料が飛び散ることが少なく、塗料を無駄にせず塗装できます。
ローラー塗りデメリット
- 細かい部分の塗装には向いていない
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ローラーには大小さまざまなサイズがありますが、細かい部分の塗装には向いていません。
- 均一に塗るには技術が必要
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ローラー塗りは厚みを持たせやすく、道具の使い方も簡単で扱いやすい工法ですが、ムラなく均一に塗るためには職人の技術が必要です。
ムラがあったり、厚みがありすぎたりすると早期劣化の原因となります。
- 複数のローラーを使い分ける必要がある
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ローラーには大きさや毛足の長さなどさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。
塗る場所や外壁材などに合わせてそれらを正しく使い分ける知識が必要です。
吹付塗装
「スプレーガン」と呼ばれる機械を使用し、機械に入れた液体状の塗料を霧状にして塗る部分に吹き付ける塗装方法です。
ローラー塗りの次に使用されることが多い方法です。
吹付塗装特徴
- 細かい部分にも塗料を行き渡らせる
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塗料が霧状になるため、外壁の細かい部分にもしっかり塗料が行き渡ります。複雑な形状をしている外壁デザインでも塗り残しが少なくなります。
- 一度に広範囲に塗れる
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霧状にした塗料を吹き付けるため、一度にかなり広い範囲の塗装ができます。その分作業スピードも上がり、ローラー塗りの数倍の早さと言われています。
- 大規模な建物で使用されることが多い
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作業スピードの早さから、大規模な建物で使用されることが多いです。
吹付塗装メリット
- 意匠性の高い外壁塗装が可能
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凝ったデザインの外壁に塗装可能な工法です。ザラザラした感触の外壁や、凸凹した重量感のある外壁など、意匠性の高い外壁に仕上げられます。
- 補修跡が目立ちにくい
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一部塗り直しやヒビの修繕など、補修跡が目立つと外壁の美観を損ねてしまいます。吹付塗装で補修跡に新しい凸凹模様をつけると、補修跡が目立たなくなります。
- 塗装時間が短い
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広範囲を一度に塗装できるため、塗装時間を短縮できます。ただし、均一に吹き付けるためには職人の技術が必要です。
吹付塗装デメリット
- 塗料を多く使用する
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吹き付ける塗装のため、飛び散りによる塗料の無駄が出ます。その量は約2割と言われ、その分塗料を多く使用するため費用がプラスされます。
- 細かな養生が必要
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霧状の塗料は風に流され飛散してしまうことが多く、通常よりも細かく養生を行う必要があります。
- 風が強い日は施工できない
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霧状の塗料は風の影響を受けるため、風が強い日は施工できないことがあります。また、塗料が風に乗って広がると、塗料自体の臭いも周辺に飛散します。
- 大きな音がする
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「スプレーガン」と呼ばれる機械を使用して塗料を霧状にするため、通常よりも大きな音が出ます。音の大きさは70dB程度で、セミの鳴き声と同等レベルです。
刷毛塗り
木やプラスチックなどでできた柄に毛を付けた小さな刷毛を使って塗る方法で、ローラー塗り同様「手塗り」とも呼ばれています。刷毛だけで建物全体を塗装するのは難しいため、ローラー塗りや吹付塗装と併用して使われる手法です。
刷毛塗り特徴
- 塗料や塗る場所によって複数の刷毛を使い分ける
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刷毛のサイズや使われる毛によって種類が異なります。一般的な刷毛は「平刷毛」「ベタ刷毛」と呼ばれるもので、そのほか金属部分に使われる「鉄骨刷毛」や水性塗料を塗ることができる「水性刷毛」などがあります。
- 補修で使われることもある
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小さな刷毛を使って手塗りするため、塗り残しや塗り忘れなどの補修で使用されることも多いです。
刷毛塗りメリット
- 細かい部分もしっかり塗れる
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窓枠などの細かい部分や角度がついていてローラーが入らない場所もしっかり塗れます。
- 塗膜欠陥が少ない
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刷毛の弾力性を活かして塗料を塗りつけるため、塗料と下地の密着性が高まります。それにより、「巣穴」と呼ばれるピンホールなどの塗膜欠陥の発生が少なくなります。
刷毛塗りデメリット
- 広い面積の塗装には向いていない
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刷毛自体が小さく、広い面積の塗装には時間がかかってしまうため向いていません。
- 職人の技術が必要
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刷毛に含む塗料の量や塗り重ねる回数などによって塗りムラができやすく、職人の経験や技術に仕上がりが左右されやすいと言えます。
- 毛が抜ける
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長く使用していると、刷毛の毛が抜けて塗料に混ざってしまうことがあります。
吹付塗装にはどんな種類がある?
吹付塗装には代表的な5種類があります。それぞれ異なる雰囲気の仕上がりになります。
- ①リシン
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「リシン」とは、セメントや合成樹脂を主成分にし、砂や細かな骨材を混ぜた塗料のことで、モルタル外壁を作る時の仕上げ方のひとつです。
リシンをスプレーガンで吹き付けると、ざらざらとした独特の凸凹と自然な風合いのある外壁になります。
- ②スタッコ
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「スタッコ」とは、セメントや砂、石灰、合成樹脂などを混ぜた塗料のことで、モルタル外壁を作る時の仕上げ方のひとつです。
スプレーガンで吹き付けたスタッコはリシンよりも凸凹が大きく、重厚で立体的なデザインの外壁に仕上がります。
- ③吹付タイル
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「タイル」と言っても実際にタイルを貼り付けるわけではなく、タイル模様や質感を再現したモルタル外壁を作る時の仕上げ方のひとつです。
「複層仕上げ塗材」という塗料を吹き付けて塗装する方法で、表面は陶磁器のようなツヤのある仕上がりになり、高級感を感じさせます。
- ④多彩模様
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多彩な細かいチップが入った塗料を吹き付ける塗装を「多彩模様」と呼びます。
立体感や深みのある天然石のようなデザインに仕上がり、高級感や独自性を感じさせる外壁になります。
- ⑤一般的な塗料
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通常の塗料をスプレーガンで吹付塗装することもあります。
外壁自体が凸凹のあるデザインの場合、ローラー塗りで均一に仕上げてしまうと外壁の意匠性が失われる可能性があるため、吹付塗装で仕上げることが多いです。
主流のローラー塗装との違い
吹付塗装は現在主流のローラー塗装と何が違うのか、項目別に比較しました。
吹付塗装 | ローラー塗装 | |
---|---|---|
使用する道具 | スプレーガン | ローラー |
塗装のスピード | 早い | 吹付塗装よりは遅い |
塗装中の音 | 大きい | 小さい |
塗料の飛散 | 多い | 少ない |
塗料の量 | 多めに用意する | 規定量 |
養生 | 細かく養生する必要がある | 通常通り |
対応する塗装業者 | 少ない | 多い |
吹付塗装が向いているのはどんな時?
吹付塗装は、以下のような希望のある方におすすめです。
- 意匠性の高い外壁にしたい
-
凸凹した外壁や、立体感・重厚感を感じさせる外壁にしたい方は、吹付塗装がおすすめです。ローラーでは均一に塗ることが難しい意匠性の高い外壁も、吹付であればキレイに塗装できます。
- 施工費用を抑えたい
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塗料や仕上げ方法の種類によって変動はありますが、吹付塗装はローラー塗装よりも安価で住む傾向にあります。一度に広範囲の塗装が可能なため、工期を短縮できます。
- 1m²あたりの施工相場
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- ローラー塗装:3,000~5,000円
- 吹付塗装:1,000~3,000円
吹付塗装した外壁のメンテナンス方法
吹付塗装した外壁は、凸凹がある意匠性の高いケースが多く、表面が平らな外壁に比べて汚れが付きやすいとも言えます。
そのため、こまめな清掃などメンテナンスが必要です。
埃や土埃など外壁に固着していない汚れは、ホースなどで水を掛ければ簡単に洗い流せます。
カビやコケ、雨だれ、排気ガスによるくすみなどこすり洗いや専用の洗剤が必要な汚れの場合、高圧洗浄機などを使ってメンテナンスが可能です。
しかし、こすりすぎや高すぎる圧力などでかえって外壁を傷めるリスクが高いため、業者に依頼することをおすすめします。