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外壁塗装、養生作業がとても重要な理由とは

外壁塗装と言えば、一番に思いつく作業は「塗装」だと思います。

目に入る面積が広い分、塗料の色によって建物や住民のイメージも異なり、キレイに塗られた外壁はまるで新築のような美しい仕上がりになります。

しかし、その美しい仕上がりを支えているのは、実は「養生」や「下地処理」といった「完成後は目に見えない作業」なのです。

ここでは、「養生」について、目的やしっかり養生しなかった場合に起こる不具合、養生のタイミングと必要な場所について解説します。

養生中に快適に過ごすためのポイントもご紹介しています。

外壁塗装の養生作業の目的とは

「養生」にはいくつか意味がありますが、外壁塗装時に用いられる意味としては「家具の運搬や塗装作業などの際に、運搬物や周囲の汚損を防ぐために布や板などで保護すること。」（小学館「デジタル大辞泉」より抜粋）が当てはまります。

外壁塗装時には、養生用のビニールシートやマスキングテープ、室外機を覆う室外機専用シート、家と足場を覆う飛散防止ネットなどが使われます。

養生作業は、主に2つの目的で行われます。

1、周辺の保護

塗料や高圧洗浄水の飛び散り防止

職人さんは慎重に作業を行いますが、塗料や高圧洗浄水の飛び散り・垂れ落ちなどを完全に防ぐことはできません。

近隣住宅に塗料や汚れが飛び散ってしまうと大きなトラブルに発展するリスクがあるため、養生はしっかり行い、周辺に汚れが付かないようにします。

塗装不要な部分の保護

外壁塗装では、窓枠や玄関など「塗装しない部分」があります。それらに塗料が付着することを防ぎます。

2、仕上がりの向上

塗料がはみ出ていたり、ラインが曲がっていたり、といったことを防ぐために、マスキングテープなどを使用して調整します。

細かく養生することで、塗っている部分と塗っていない部分の境目がキレイに出て、より美しく仕上がります。

養生作業を丁寧にしないと起こりえる不具合とは

周囲の保護や仕上がりの向上を目的とした養生ですが、丁寧に養生しないと以下のようなことが起こる可能性があります。

塗料の飛散

ローラーを使った手作業の塗装でも、塗料の飛散を完全に防ぐことはできません。養生をしっかり行わないと、窓やドア、エアコンの室外機、車などに塗料が付いてしまうことがあります。また、せっかく塗り終えた場所に別の塗料がついてしまい、やり直すために工期が延びることも考えられます。

近隣とのトラブル

塗料は一度ついてしまうとなかなか落ちません。

近隣住宅の外壁や洗濯物、車などに塗料が付着してしまった場合、信頼関係が損なわれるリスクが高いことは言うまでもありません。さらに、原状復帰のための修復やクリーニングにかかる費用を請求されたり、損害賠償を求められたりなど大きなトラブルに発展してしまうこともあります。

作業の品質低下

塗装されるべき場所とそうでない場所の境目が不明瞭になり、線が曲がったり、色が混ざったりなど雑な仕上がりで美観を損ねるリスクがあります。

植物への影響

植木や盆栽、植栽などの植物に塗料が付いてしまうと、塗料が落ちないばかりか枯れてしまうこともあります。また、長期間ビニールシートで覆われ続けると、日光や水分不足に陥ることもあります。

養生シートの破損

職人さんや塗装に使用する道具がぶつかったり引っ掛かったりして、養生シートが破れることがあります。そのまま放置して塗装を続けると、塗装しない部分に塗料が付いたり、室内に塗料が飛び散ったりなどのリスクがあります。

養生剥離時のトラブル発生

塗料が完全に乾いていない場合、養生を外すときに塗装面が剥がれたり、キズができたりすることがあります。また、粘着力の強すぎるテープや予定以上の長期間養生を行っていた場合には、塗装面に養生テープの粘着部分が残ることもあります。

養生のタイミングと養生が必要な場所

外壁塗装は、以下の図のような工程で行われます。

養生は場所によって目的が違うため、養生しておくタイミングと期間が異なります。

なお、上記図の工程④に「養生」という項目がありますが、これは「外壁に対する養生」を指しています。業者や内容によって、工程③の「下地処理」と順番が前後することがあります。

（1）建物全体

塗料や高圧洗浄水が近隣へ飛散しないようにするために設置します。

足場の組み立てと同時に、「飛散防止ネット」と呼ばれるメッシュのシートで建物全体を覆います。液体は通さず空気は通す通気性に優れたシートですが、台風などあまりに強い風が想定される場合や工事の進捗を確認したい時などは捲って足場に固定できます。

外壁塗装がすべて終了するまで、基本的に外されることはありません。

（2）塗料を運ぶ通路

塗料がこぼれて汚れないようにするために、塗装個所に合わせて塗料を移動させる通路や塗料を置いておく場所に設置します。

高圧洗浄終了後、「ブルーシート」で床などを覆い、最終チェックが終了するまで外されることはありません。

ブルーシートは滑りにくく、厚みがあり破れにくいため、塗料や台車など重いものが乗る場所の養生に適しています。

（3）窓や玄関など外壁周辺

窓や玄関をはじめ、エアコンの室外機、植栽、郵便ポストなど、塗装しない細かい場所をカバーします。

主に「養生用ポリシート」と呼ばれる透明なビニールシートを設置しますが、養生する場所によって「マスキングテープ」や車専用の「カーシート」なども使用します。

業者によって下地処理と前後しますが、一度取り付けたら最終チェックまでそのまま養生しておきます。

養生中に快適に過ごすためのポイント

養生中に快適に過ごすためには、以下のような点に気を付けましょう。

• 窓の開閉
• エアコンの使用
• 周辺にあるものを移動させる

1、窓の開閉

ひと昔前は、養生中は窓が開けられませんでした。

しかし、現在では事前に業者に相談しておくことで、窓が開けられるように養生できる場合も多いです。

塗装期間中でも開けたい窓がある場合は、打ち合わせの段階で必ず相談しましょう。

塗装中の面の窓は開けられないなど決まりはありますが、格段に過ごしやすくなります。

ただし、窓を開けると塗料のニオイが室内に入るため、長時間空けておくことはおすすめしません。

2、エアコンの使用

窓同様、業者によっては室外機専用シートなどを用いて塗装中もエアコンが使用できるように養生できます。

真夏や真冬はエアコンがないと室温調整が難しい家庭もあると思います。

事前に業者に「塗装中もエアコンが使えるようにしてほしい」と相談してみましょう。

3、周辺にあるものを移動させる

トラブル防止のため、基本的に職人さんは施主の許可なく周辺のものを勝手に動かすことができません。

外壁塗装では塗装しない場所すべてを養生しますが、自転車や植木鉢など動かせるものは事前に移動させておくと、養生の手間が省け、塗料付着などのリスクも減らせます。

なお、移動できない植木や植栽にはビニールで養生を行いますが、それによって枯れてしまうことがあります。植栽には、専用の「植栽用養生シート」や「植木保護シート」などを使用してもらうよう、業者に依頼してみましょう。