外壁塗装自然塗料について詳しく解説しています。

自然塗料なら健康被害が抑えられる?
化学塗料との違いとは

健康被害が比較的少ないとされる自然塗料。化学塗料とは何が違うのでしょうか?

ここでは自然塗料とはどのような塗料なのか、化学塗料との違いやメリット・デメリット、自然塗料の種類を詳しく解説します。

代表的な自然塗料も紹介しているので、外壁塗装で自然塗料を検討される方はぜひご覧ください。

自然塗料とは

自然塗料とは、塗料の主成分に合成樹脂を使わず、天然素材を使用した塗料のことです。

主に、屋内用や木部の塗装に使用されています。

自然塗料とは

塗料は、主に「顔料」「樹脂」「添加剤」「溶剤」からできています。

現在の塗料の主流は、塗膜を作る成分の「樹脂」に合成樹脂を用いています。耐久性や防汚性などさまざまな機能を持ち、高性能である反面、化学物質過敏症やシックハウス症候群などの健康被害が問題になることもあります。

一方、自然塗料は「樹脂」に天然素材を使用しているため「合成樹脂よりは安全」と考えられています。

海外では「自然塗料」と表示するための明確な基準があり、日本で販売されている自然塗料はドイツのメーカー製のものが主流です。

一方、日本では自然塗料に対する明確な定義がなく、海外ではNGが出てしまうような塗料も自然塗料として販売されていることがあるため注意が必要です。

自然塗料を検討する際は、「天然素材を使っているから安心」と考えるのではなく、どのような特徴やメリット・デメリットがあるのかをしっかり理解した上で使用することが重要です。

化学塗料と自然塗料の違い

塗料の主成分に天然素材を使用した「自然塗料」に対して、石油系樹脂や合成樹脂などを使用した塗料を「化学塗料」と呼びます。

外壁塗装の主流であるシリコン塗料やフッ素塗料などは、すべて化学塗料です。

化学塗料と自然塗料は、以下のような違いがあります。

化学塗料 自然塗料
相場 安価 高価
耐久性 高い 低い
施工期間 短い 長い
安全性 低い 高い
外観 建材を塗りつぶす 自然な風合いが出せる
※あくまで一般的な塗料の比較であり、塗料によって機能は異なります。

自然塗料に関する各項目を、それぞれメリット・デメリットとして次項で詳しく解説します。

自然塗料のメリット・デメリット

自然塗料のメリット

自然塗料ならではのメリットとして、以下が挙げられます。

健康被害が最小限に抑えられる

塗料の主成分に天然素材が使用されている自然塗料は、化学塗料と比較して健康被害が出にくいと言われています。

アレルギー症状に敏感な方におすすめですが、絶対に症状が出ないわけではありません。

アレルギーの中には天然由来成分に対するものもあるため、注意が必要です。

木目の美しさを活かした塗装が可能

浸透型の自然塗料は、表面に塗膜を作らない塗料です。

そのため、木材に塗ると木目の美しさと温もりを活かしたまま塗装でき、経年変化による色合いの移り変わりを楽しめます。

時間が経つほど使い込まれた風合いが出て、「自分が生活してきた場所」という愛着が湧きます。

また、塗膜がないため木材が持つ調湿機能も損なわれません。

環境に優しい

化学塗料と異なり、自然塗料を作り出す過程では二酸化炭素の排出が多くありません。

そのため、環境に優しいと言えます。

自然塗料のデメリット

メリットがある一方で、以下のようなデメリットがあります。

塗料の価格が高い

自然塗料は、塗料の主成分である天然素材を集めるのに手間がかかるため、塗料の価格は化学塗料よりも割高です。

さらに、天然素材故に大量生産ができないことも理由の一つです。

メンテナンスコストが高くなる

化学塗料よりも耐候性が低いため、早くて2〜3年、遅くても4〜5年を目安に塗り替える必要があります。

また、乾燥に時間がかかるため工期が延び、その分職人さんの人件費も多くかかります。

外壁塗装で使用した場合、化学塗料よりも全体的にコストがかかります。

安全であるとは言い切れない

塗料の主原料に合成樹脂を使用しない分、化学塗料よりは健康被害が少ないと言われています。

しかし、「絶対にアレルギー症状が出ない安全な塗料」とは言い切れません。

アレルギー症状は人によって千差万別であり、自然塗料を使用していても健康被害が出ることはあります。

自然塗料の種類

自然塗料は、主成分である天然素材によって大きく3種類に分けられます。

それぞれの特徴などをまとめました。

オイル系 ワニス系 ワックス系
分類 浸透型 造膜型 塗膜保護
主成分 天然油脂
※植物の種子等から採取
天然樹脂
※樹木や昆虫等
蝋(ロウ)
  • 亜麻仁油
  • ひまわり油
  • 桐油
  • 大豆油
  • 菜種油
  • 荏胡麻油
  • 胡桃油 など
  • 松脂
  • セラック
  • ダンマル
  • コパール
  • ロジン など
  • カルバナ蝋
  • 蜜蝋
  • イボタ蝋
  • 木蝋
  • カンデリラ蝋 など
特徴 木の質感や木目を残した仕上がりになる 木の表面をコーティングし、ツヤ感のある仕上がりになる 無塗装のような自然な仕上がりになる

オイル系

亜麻仁油やひまわり油など植物の種子などから取れる「天然油脂」が主成分の自然塗料です。

塗ったオイルは木材の表面から導管に染み込みます。浸透したオイルは内部で固まり、塗膜の代わりに木材を保護します。

内部に浸透することから「浸透型」と呼ばれ、塗膜を作らずに木の質感や木目などを美しく残したまま木材を塗装できます。

塗膜がないため手触りも木材本来のしっとりとした触り心地を感じられます。

塗料を塗った後に、ウエスなどで拭き取る「オイルフィニッシュ」と呼ばれる技法が使われることが多く、着色と保護を同時に行う1度塗りが主流です。

浸透型のため、耐水性は低めです。塗料が落ちてくると、木材の表面がカサついてきたり色が落ちてきたりするため、こまめなメンテナンスが必要です。

なお、最近では拭き取らずに2度塗りを行うことで耐候性を高めたオイル系自然塗料もあります。

ワニス系

一般的に「ニス」と呼ばれる木材の表面を保護するための塗料で、DIY好きな方にはおなじみかもしれません。

ワニス系は主成分によって「セラックワニス」と「油ワニス」の2種類に分類されます。

セラックワニス

「シェラックワニス」「シェラックニス」とも呼ばれる。「ラックカイガラムシ」という虫の分泌液

油ワニス

「油ヤニス」「油ニス」とも呼ばれる。樹木から取れる松脂、ダンマル、コパールなどの天然樹脂を植物油の溶剤に溶かし、液状にして使用する。

樹脂が含まれるため、塗ると塗膜を形成します。

ツヤ感のある透明な塗膜は、木材の調湿機能を残しつつ表面をコーティングし、保護すると同時に耐水性にも優れています。

塗膜により木材の手触りは失われますが、その分浸透型よりも耐久性があります。

ワックス系

「ワックス」とは、「蝋」のことです。その名の通り、蜜蝋やカルバナ蝋、カンデリラ蝋など、「動物性、植物性由来の天然蝋」を主成分にした塗料です。

蝋のままでは固形のため、テレピン油などの溶剤に溶かして液状にしてから塗布します。

木材に塗るとゆっくり浸透しながら表面をコーティングして撥水性や防汚性を高め、無塗装のような仕上がりになります。

しかし、時間が経つとどんどん取れていくため頻繁にメンテナンスする必要があり、単独で使われる事はあまりありません。塗膜保護を目的とした「補助膜」として、オイル系やワニス系の塗装後に使用されています。

また、オイル系とワックス系の特徴を併せ持つ「オイルワックス系」の自然塗料もあり、ほかの自然塗料よりも耐水性や防汚性など木材保護の機能は高くなっています。

外壁塗装で使える代表的な自然塗料

外壁塗装で使える代表的な自然塗料

広い外壁を塗る塗料としては、耐候性の低さから自然塗料はあまり向いていません。しかし、ウッドデッキなど木材を使用したエクステリアには使用できます。

刷毛などで塗りやすい自然塗料も多く販売されているため、DIYを楽しみたい方にもおすすめです。

代表的な自然塗料をまとめました。

ドイツ製

製品名 ウッドステインプロテクター タヤエクステリア AURO Nr.110ウッドデッキオイル
メーカー オスモ リボス アウロ
主成分 ひまわり油、大豆油 天然エナメル、亜麻仁油 桐油、オレンジ油、亜麻仁油
耐用年数 4~6年 3~5年 不明
特徴
  • ドイツ発祥のメーカーで140年以上の歴史がある
  • 「オスモクオリティー」という独自の品質基準を設定
  • 高耐候性で日本の気候に対応
  • ドイツ発祥のメーカーで40年以上の歴史がある
  • 成分表の開示などに積極的に取り組み健康や安全に配慮している
  • 紫外線から木材を保護する高い耐候性を持つ
  • ドイツ発祥のメーカーで45年以上の歴史がある
  • 自然塗料のパイオニア
  • 浸透成分+塗装膜のダブル効果で高い耐候性を持つ

日本製

製品名 キヌカ いろはカラー
メーカー 日本キヌカ アールジェイ
主成分 米糠 桐油、亜麻仁油、松脂
耐用年数 1~1年半 3~5年
特徴
  • 屋内用の塗料
  • 素手で塗装できるほど肌への刺激が少ない
  • 溶剤不使用のため換気不要
  • 広島県発祥のメーカー
  • 日本の木材にも造詣が深い
  • 撥水性が高く汚れも付きにくい
ケントリファイン

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