塗料のグレードではない？！
セラミック塗料の特徴とは

外壁塗装を検討していると、セラミック塗料という言葉を聞くかもしれません。

実は、「セラミック塗料」は塗料の種類を表す言葉ではありません。

ここでは、セラミック塗料とはどのような塗料なのか、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。

悪質業者が使う手口として利用されることも多いため、ぜひご確認ください。

セラミック塗料が向いている・向いていない場合についても紹介しています。

セラミック塗料とは「セラミック配合塗料」のこと

外壁塗装では、セラミック塗料の「セラミック」は“無機物”を指します。

塗料は主に、「顔料」「樹脂」「添加剤」「溶剤」という4つの成分からできています。

セラミック塗料は、「樹脂」に添加物として砂や石、セラミックビーズなどの「セラミック（無機物）」を含んでいる塗料の総称です。「無機塗料」や「無機ハイブリッド塗料」と呼ばれることもあります。

セラミック塗料は「セラミックが配合された塗料の総称」のため、本来はシリコン塗料やフッ素塗料など“塗料の種類”（“塗料のグレード”とも言います）として分類するものではありません。

シリコン塗料にセラミック粒子を混ぜたものや、フッ素塗料にセラミックを配合したものなどがあり、どちらも「セラミック塗料」です。

ただし、一般的には以下の特徴を持つ塗料を「セラミック塗料」と呼ぶことも多いです。

• 低汚染性
• 断熱・遮熱性能
• 石材調の仕上がり

なお、「セラミック塗料」と呼ぶための定義はなく、セラミックが数％でも含まれていればセラミック塗料と言うことができます。

セラミック塗料の耐用年数と相場

セラミック塗料は塗料の種類ではないため、耐用年数や費用相場はベースの塗料によって変動します。

ベースとなる各塗料の耐用年数と塗料の価格帯は以下の通りです。

セラミック塗料として人気のある日本ペイントの「ファイン4Fセラミック」の場合、ベースはフッ素塗料です。

セラミックが配合されている分、耐用年数や価格に変動があり、耐用年数は15〜20年、塗料の価格は約3,600～4,660円／m²です。

なお、一般的なセラミック塗料の耐用年数と相場は、断熱・遮熱に優れた機能をもつセラミック塗料として以下のように紹介されることが多いです。

セラミック塗料のタイプ

含まれるセラミックによってセラミック塗料のタイプは4つに分かれます。

• 汚れにくい“低汚染性能の高い塗料”
• 断熱・遮熱性に優れる“断熱・遮熱塗料”
• 石材調の外壁にできる“石調塗料”
• 全体的にグレードの高い“無機塗料”

すべてを満たすセラミック塗料は存在しないため、自分の求める性能に優れるセラミック塗料を選びましょう。

セラミック塗料のメリット

ベースになる塗料の樹脂によって細かくは異なりますが、一般的にセラミック塗料には以下のようなメリットがあります。

汚れにくい

セラミック塗料は親水性が高く、雨と一緒に汚れも流してくれます。
また、耐候性や耐紫外線性、耐薬品性にも優れ、汚れにくいだけでなく太陽光による変色や塗膜の劣化に対しても強いと言えます。
汚れや劣化に強いため、カビやコケ・藻が発生しにくく、耐用年数も長めになります。

断熱・遮熱性に優れる

セラミックの種類によりますが、中が空洞になっているセラミック粒子を配合した塗料の場合、断熱性能に優れます。
代表的な塗料は日進産業が製造販売している「ガイナ」です。

ガイナについて、詳しくはこちらをご覧ください。

外壁塗装で人気の「ガイナ」ってどんな塗料？

デザイン性が高い

セラミック塗料は天然石や砂を配合しています。
そのため外壁に塗るとセラミックが塗装面に見え、石材調の美しい外壁デザインにできます。通常の塗料とは異なる奥行きや立体感を演出できます。

セラミック塗料のデメリット

高い

セラミック塗料は、塗料にセラミックを配合することで付加価値を与えるため、価格が高く設定されています。
前々項「セラミック塗料の耐用年数と相場」でご紹介したベースとなる塗料の費用よりも、2〜5割ほど値段が高いことが多いです。

高い技術が必要

セラミック塗料は、塗り方や注意点がほかの一般的な塗料とは異なります。
そのため、セラミック塗料を扱ったことがあり、高い技術を持つ職人や施工会社に依頼しないとムラになりやすいです。

セラミック塗料が向いている場合

以下のような外壁にしたい方は、セラミック塗料がおすすめです。

断熱・遮熱性能が欲しい

セラミック塗料は“セラミックを含まない塗料”よりも断熱もしくは遮熱性能が優れています。
そのため、外壁に断熱・遮熱性能を求める方はセラミック塗料がおすすめです。
セラミック塗料の中でもフッ素塗料をベースにしたセラミック塗料は、耐候性が高く、遮熱性能に優れています。
断熱性能を求める場合は、アクリルシリコン樹脂にセラミックビーズを配合した塗料「ガイナ」を検討してみましょう。

デザイン性の高い外壁にしたい

天然石をまぶしたようなデザインの外壁にしたい方は、石材調仕上げになるセラミック塗料がおすすめです。
塗料を塗っただけの外壁とは一味違う、高級感あふれる印象になります。
ただし、耐久性はベースの樹脂によって異なるため、耐用年数などしっかり確認してください。

セラミック塗料が向いていない場合

濃い色の外壁にしたい

セラミックの基本は「白色」のため、セラミック塗料は淡い色合いのものになります。
濃い色や原色の外壁にしたい場合、セラミック塗料は向いていません。

初期費用を抑えたい

セラミック塗料は、同じベースの樹脂を使用していても、セラミックを含まない塗料よりも高価です。
外壁塗装の初期費用を抑えたい時は、セラミック塗料はおすすめできません。

セラミック塗料で気を付けたいこと

セラミック塗料を使用して外壁塗装を行う場合、以下の点に注意しましょう。

耐用年数が必ず長くなるとは限らない

セラミック塗料は「ベースとなる樹脂塗料にセラミックを配合した塗料」であり、耐用年数はベースの樹脂に左右されます。
セラミック塗料“だから”耐用年数が長いわけではないため、必ず塗料のグレード（ベースの樹脂）で判断しましょう。

悪質業者の手口として使われやすい

「セラミック塗料なので、耐用年数は20年になります」、こんなセールストークにはご注意ください。
本来ベースの樹脂によって異なるはずの耐用年数を全面に押し出して契約させる悪質業者は多いです。
また、セラミック塗料を種類のひとつとして紹介する業者もいます。
セラミック塗料でも「ウレタン系」と「フッ素系」では耐用年数に大きな差が出るため、「セラミック塗料だから高性能」と言われたら注意してください。

職人さんの技術に仕上がりが左右される

塗料にセラミックを配合しているため、一般的な塗料よりも塗りにくく、キレイに仕上げるには職人さんの技術が必要です。
セラミック塗料の塗装経験がない職人さんや業者に依頼すると、いまひとつな仕上がりになってしまうことがあります。