外壁色褪せについて詳しく解説しています。

建物の美観を損ねる色あせ!
何色なら色あせを予防できるの?

色あせた外壁は、実際の築年数に関わらずとても古い建物のように見えてしまいます。

できる限り長く、美しい外観を保つためには、どのような色選びが必要なのでしょうか。

ここでは色あせする原因や影響、色あせを防ぐための方法について解説します。色あせしにくい/しやすい色も紹介しているので、外壁塗装の際にはぜひ参考にしてください。

色あせってどんな状態?どんな影響があるの?

色あせってどんな状態?どんな影響があるの?

外壁における「色あせ」とは、「塗料の劣化によって色が薄くなった状態」のことです。

「多少色あせていても、問題なく住めるから大丈夫」と放置しておくと、以下のような影響があります。

①美観を損ねる

色あせた外壁は、建物に古い印象を与え美観を損ねます。

まだ築浅と言ってもいいほど新しい家なのに、色あせのために古い家のように見られてしまうことがあり、せっかくの美しい外観の建物が台無しになってしまうこともあります。

②空き巣に狙われやすい

①のように古い家に見られたり、色あせをそのまま放置していたりすると、「建物に気を使っていない家」と判断されて空き巣に狙われやすくなります。

「建物に気を使わない」=「防犯対策もあまりされていない」と思われるからです。

③チョーキング現象が発生する

色あせは、外壁塗装の劣化の始まりです。

そのまま放置しておくと、「チョーキング」と呼ばれる「壁を触った時に手に白っぽい粉が付く」状態になり、塗料がどんどん劣化していきます。

④建物の耐久性が落ちる

色あせは劣化症状のスタートなので、「今すぐなんとかしないと!」というほど緊急性の高いものではありません。

しかし、そのまま長い年月放置してしまうと、チョーキングをはじめとする劣化症状がすすみ、雨漏りや建材の腐食、ひいては建物自体の耐久性が落ちてしまうほどひどい劣化を招きます。

色あせする原因

外壁が色あせする原因は、主に以下の5つです。

①紫外線

太陽光の紫外線が塗料に含まれる色の成分「顔料」の色素を分解して壊してしまうため、色があせていきます。

直射日光があたる南側の外壁から色あせしていくのは、これが原因です。

紫外線に強い塗料を使用すると色あせが起きるスピードを遅くできますが、完全に防ぐことはできません。

②化学変化

水や酸素など自然界に存在するさまざまなものと塗料に含まれる成分が化学変化を起こし、色あせが起きることがあります。

例として、酸性雨やPM2.5などが挙げられます。

化学変化による色あせは、日当たりの悪い外壁でも起こります。

③環境

建物の建っている環境が以下のような場合、その影響も色あせの原因のひとつです。

  • 車通りの多い道路のそば
  • 海のそば
  • 積雪が多い
  • 台風被害が多い

車の排気ガスや潮風、風雨、雪などによって塗料が劣化していきます。

これらの立地にある建物では、道路近くの場合は防汚性能の高い塗料、海近くの場合は無機塗料など、原因に対応する塗料の使用がおすすめです。

④金属の劣化

金属系サイディングなど金属が含まれる外壁材では、酸化によって発生するサビでも色あせが起こります。

鉄の酸化では赤サビや黒サビ、銅の酸化では青緑色のサビが発生します。

これらのサビを放置しておくと、サビが雨などで溶けだして外壁の色あせを招きます。

サビから発生する色あせの場合、外壁材が既に腐食しているなど状況によっては建材の補強や交換といった大きな工事が必要になってしまうこともあるため、注意が必要です。

⑤施工不良

紫外線や風雨など外的要因ではなく、そもそも外壁塗装が施工不良であるケースもあります。

施工不良による色あせで最も多い原因は、「高圧洗浄がしっかり行われなかった」ことによるものです。

外壁塗装では、工程の初期段階で高圧洗浄を行います。これにより、汚れや古い塗料をキレイに落とし、新しい塗料の密着度を上げています。高圧洗浄が十分でないと、新しく塗った塗料が剥がれやすくなり、色が落ちる原因になります。

高圧洗浄の施工不良は業者の手抜きではなく、職人の技術によるものであるケースも存在するため、経験豊富な信頼できる業者に依頼することが大切です。

高圧洗浄について、詳しくはこちらをご覧ください。

外壁塗装前の高圧洗浄は必要なのか

色あせを防ぐには

色あせを防ぐには、以下のような対策が考えられます。

①耐用年数の長い塗料を使う

耐久性が高く、耐用年数の長い塗料は塗膜の劣化スピードが遅く、色あせしにくい塗料と言えます。

耐久性の高い塗料には、以下のような種類があります。

  • フッ素塗料・・・紫外線に強いなど耐候性が高い
  • ラジカル塗料・・・塗料の劣化原因「ラジカル」の発生を抑制する
  • 光触媒塗料・・・活性酸素により有機有害物質を分解する

耐用年数は塗料によって5〜25年と大きく幅があり、基本的には高機能で耐用年数が長い塗料ほど価格も高いです。

しかし、耐久性が高い=塗り替えの回数が少なくて済むため、色あせ防止を含むトータルメンテナンスコストは下がります。

ご自身の予算との兼ね合いを検討しながら、できるだけ耐用年数の長い塗料を選びましょう。

塗料の種類について、詳しくはこちらをご覧ください。

初めてでもすぐわかる!外壁塗装の塗料の種類・グレード・選び方
②艶あり塗料を使う

塗料には、マットな質感に仕上がる「艶なし」と、光沢のある「艶あり」があります。

艶あり塗料は塗膜の表面がツルツルしているため汚れが付きにくく、塵やホコリなどによる塗膜の劣化スピードは「艶なし」よりも遅くなります。

また、外壁塗装に使われる塗料の基本は「艶あり」で、「艶なし」は艶あり塗料に“艶調整剤”という添加剤を混ぜて加工しています。

艶なし塗料は添加剤を加える分、塗料に含まれる樹脂が少なくなるため、「艶あり」と比較して耐久性に劣ると言われています。

外壁塗装の艶について、詳しくはこちらをご覧ください。

外壁塗装の塗料、艶ありと艶なし、どっちがいいの?
③色あせしにくい色を選ぶ

塗料によって選べる色は異なりますが、共通して「色あせしにくい色」「色あせしやすい色」があります。

外壁の色に強いこだわりがない場合は、色あせしにくい色を選ぶ方法もあります。

色あせしにくい/しやすい色について、次項で詳しく解説します。

色によって色あせの度合いが変わる?

色によって色あせの度合いが変わる?

外壁の色あせを防ぐ方法として、「色あせする原因」に対応した塗料を使用したり対策を行ったりするほか、塗料の色でも色あせ防止効果が見込めます。

色あせは「塗料の色が薄くなること」のため、色によって目立つ色と目立たない色があります。

色あせが目立たない色を外壁に使用することで、「色あせを予防する」とも言えます。

ただし、あくまで色あせが目立たなくなるだけで、色あせしないわけではないので、「耐用年数をきちんと全うできる色」と考えましょう。

色あせしにくい色

色あせしにくい色は、一般的に白系・黒系・青系の3色です。

白系(白やアイボリー、ベージュなど)

白は紫外線に強く化学変化も起きにくいため、もっとも色あせが目立ちにくい色と言えます。

一方で、煤煙や砂埃など種類を問わず汚れが目立ちやすい色でもあります。

アイボリー

アイボリーは白よりも汚れが目立ちにくく、もともと色が薄いため色あせも目立ちにくいと言えます。

ナチュラルな雰囲気で周囲の建物とも調和しやすく、人気があります。

ベージュ

ベージュは落ち着いた印象を与え、周囲の建物とも調和しやすく、色あせも汚れも目立ちにくい色です。

特に明るめのライトベージュであれば、より一層色あせは目立ちにくくなります。

黒系(黒やグレーなど)

黒い塗料には、「カーボンブラック」という顔料が使用されています。

これは着色する力が強く、紫外線によって色素が分解されにくいため、色あせしにくいです。黒の外壁は重厚感があり、洗練された高級感を演出できます。

ただし、白と同様にでもあります。中でも光沢のある黒は、経年劣化により艶が落ちてくると、一気に色あせたように見えてしまいます。

また、熱を蓄えやすく、壁の表面はかなり高い温度になる傾向があります。特に金属系サイディングでは、真夏は火傷するほどの熱さになることもあります。

グレー

グレーの中でも特に淡いグレーはスタイリッシュな印象で、汚れが目立ちにくいこともあり人気の色です。

色が薄くなっていく色あせや、土埃、カビなどの汚れは中間色のため、同じ中間色のグレーでは目立ちにくく、美観を長く保ちたい方におすすめです。

なお、濃いグレーを選ぶと黒と同じように鳥のフンなど白系の汚れが目立つため、淡いグレーを選択しましょう。

青系

青は光を反射しやすく、紫外線の影響を受けにくいため色あせしにくい色です。

外壁の印象も知的で爽やかな雰囲気に仕上がります。

青にはさまざまな色味のバリエーションがありますが、薄いブルーやパステル系の青がおすすめです。

原色に近い濃い青は、黒同様汚れが目立ちやすく、薄い青よりも色あせしやすいと言えます。

上記のほか、自然をイメージさせる薄いグリーンも中間色で色あせや汚れが目立ちにくく、人気があります。

色あせしやすい色

逆に、色あせしやすい色、色あせが目立ちやすい色は、赤・紫・黄色・濃い緑です。

赤は紫外線の影響を受けやすく耐光性が低いため、もっとも色あせしやすい色と言えます。特に、原色に近ければ近いほど色あせが目立ちやすいです。

ビビットなカラーでオシャレな印象ですが、色あせを気にする場合は避けた方がいいでしょう。

大型建造物の東京タワーで使われているため耐光性が高いと思われがちですが、キレイな赤い発色を保つために5年に1度、3万リットル以上の塗料を使用してタワーの塗り直しが行われています。

どうしても原色に近い赤で外壁塗装をしたい場合は、5年程度で塗装をし直すことを念頭に入れておくといいですね。

紫も紫外線の影響を受けやすく、赤に次いで色あせしやすい色と言われています。

ただし、「紫色」と一口に言っても赤紫から青紫まで色味の幅が広いこともこの色の特徴です。

赤に近い紫は色あせしやすいですが、青に近い紫は逆に色あせしにくくなります。

赤の色素が多く入っているものは色あせしやすいと考えましょう。

黄色

黄色も比較的紫外線を吸収しやすい色です。

特に濃い黄色は色あせが目立つでしょう。また、薄い黄色にした場合、色あせだけでなく汚れも目立ってしまいます。

薄い黄色の外壁はレンガやタイルをワンポイントに使用した外壁デザインにもマッチしてかわいらしい印象に仕上がりますが、色あせや汚れ対策が必要な色と言えます。

似たような色のアイボリーや黄土色であれば、退色しにくい外壁カラーになります。

濃い緑

色あせしにくい薄いグリーンと異なり、明るめの濃い緑は経年劣化によって鮮やかさが失われると、色あせがとても目立ってしまいます。

上記の色を含め、原色に近い色はどれも色あせが目立つと言えます。また、周囲との調和が難しい色でもあります。

どうしても原色を使いたい場合は、耐候性の高い塗料を使用し、短い期間での塗替えを念頭に置いておきましょう。

ケントリファイン

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