断熱塗料と遮熱塗料の仕組みや
違いを知って正しく選ぼう!
外壁塗装を検討していると、業者から断熱塗料や遮熱塗料を勧められることがあります。
どちらも「熱を伝えない」塗料ではありますが、詳しい違いは分かりにくいですね。
ここでは、断熱塗料と遮熱塗料の違いや仕組み、メリット・デメリット、シチュエーション別のおすすめ塗料、代表的塗料をご紹介します。
断熱塗料と遮熱塗料は何が違う?仕組みを解説
断熱塗料と遮熱塗料は、「熱を伝えずに屋内で快適に過ごすための機能性塗料」という点で共通していますが、その仕組みやメカニズムは異なります。
もっとも大きな違いは、「冬の寒さに対する効果の有無」です。
- 断熱塗料
- 断熱塗料はその名の通り、「熱を遮断する」塗料です。
外からの熱が屋内に伝わりにくく、また屋内の熱も外に伝わりにくい塗料で、断熱材と似たような機能を持っています。
そのため、冬でも屋内の暖まった空気を外に逃がすことなく、保温効果が持続します。
- 遮熱塗料
- 遮熱塗料は、「太陽の熱を反射して遮る」塗料で、「高日射反射塗料」とも呼ばれています。
太陽光の近赤外線を反射する機能で塗装面の表面温度を下げ、屋内の温度上昇を防ぎます。
内外の熱のやり取りを防ぐ塗料ではないため、冬は屋内の熱を逃がしてしまい保温効果はありませんが、その分費用を抑えられます。
断熱塗料と遮熱塗料の違い
断熱塗料 | 遮熱塗料 | |
---|---|---|
熱を遮る仕組み | 建物内外の熱伝導を断つ | 太陽光の近赤外線を反射 |
室温の変化 | 【夏】涼しい 【冬】温かい |
【夏】涼しい 【冬】保温効果なし |
耐用年数 | 15~20年 | 10~15年 |
施工費用(m²) ※シリコン塗料の場合 |
約3,500~4,800円 | 約2,300~3,500円 |
断熱塗料のメリット・デメリット
断熱塗料のメリット
断熱塗料の一番のメリットは、外壁や屋根からの熱伝導を遮断するため、1年中快適な室温をキープできることです。
夏は太陽光や外気温の熱が室内に伝わらないようにするため、涼しさを保てます。
冬は冷気の侵入を防ぎ、室内の暖かい空気を逃がしません。
冷暖房効率が上がるため、1年を通して省エネ効果も期待できます。室温は約3℃低下し、1か月あたりの電気代は約3%下がります。
耐用年数が15〜20年と長く、耐久性に優れているところも魅力です。
断熱以外にも、遮音機能や消臭機能など、多機能な塗料が多いです。
断熱塗料のデメリット
断熱塗料は、多機能なため塗料の価格が高く、施工費用が上がります。
また、製造しているメーカーが少なく、塗料の色や艶の有無など希望の色・仕上がりが選べないことがあります。
断熱塗料には断熱効果を高めるために細かなビーズが入っています。
ノウハウのない職人が施工してしまうと、凸凹ができてしまったり、塗装が剥がれたりするなど不具合が発生することがあるため注意が必要です。
遮熱塗料のメリット・デメリット
遮熱塗料のメリット
太陽光による熱を反射して夏の室温を下げるため、エアコンによる夏場の電気代を節約できます。
一般的に室温は2.4℃低下し、1か月あたりの電気代は約3%下がります。
特に金属屋根に対して効果を発揮し、金属屋根の表面温度は約15℃も下がります。
建物が熱くなるために周りの気温が上昇してしまう「ヒートアイランド現象」を抑える効果があるため、環境に優しい塗料と言えます。
また、熱による塗装面の劣化を防げることも魅力のひとつです。
遮熱塗料のデメリット
室内の熱を保つ効果はなく、冬の寒さ対策はできません。
また、塗膜が汚れてしまうと遮熱効果が発揮できないため、定期的なメンテナンスが必要です。
塗料に含まれる特殊な顔料によって遮熱性能を発揮するため、遮熱塗料は他の塗料と色を混ぜて新しい色を作ることができません。
色の種類が限られてしまうこともデメリットのひとつです。
こんな時はどちらを選ぶ?おすすめ塗料の選び方
求める効果やシチュエーション別に、断熱塗料と遮熱塗料のどちらが向いているか解説します。
- 夏の室温を下げたい
- 「とにかく夏の暑さをなんとかしたい!」という場合は、遮熱塗料がおすすめです。
塗装面の温度を下げることで室温を下げてくれます。塗料の色は、濃い色よりも薄い色の方がより効果が発揮されます。
断熱塗料よりも費用が安く済む点も、おすすめできるポイントです。
- 長い冬を快適に過ごしたい
- 豪雪地帯など冬の寒さが長く続く地域の場合は、断熱塗料を選びましょう。
室内の暖かい空気を外に逃がさず、外気温を室内に伝わりにくくするため、厳しい寒さでも快適に過ごせます。
- 最上階の温度を下げたい
- 屋根に最も近い最上階の室温を下げたい場合は、遮熱塗料で屋根を塗装しましょう。
最近では、狭小地に3階建ての家も多く見られます。
屋根と部屋の間に断熱層がなく、最上階がロフト風子供部屋や寝室になっているお宅も少なくありません。
屋根に遮熱塗料を塗ると屋根材の温度は15〜20℃下がり、断熱層の無い最上階の室温は10℃近く下がります。
- 屋根が金属素材/吹き抜けがある
- 金属素材の屋根や吹き抜けがある場合は、断熱塗料・遮熱塗料のどちらも有効です。
金属屋根は熱伝導率が高いため、外気温の影響を受けやすく、室内の熱も外に逃がしやすいです。
吹き抜けがあると部屋の空間面積が広くなり、エアコンが効きにくくなります。
夏の暑さが厳しい地域では遮熱塗料を、冬の寒さが厳しい地域では断熱塗料を使う、などの考え方ができます。
断熱塗料と遮熱塗料の代表的塗料
断熱塗料と遮熱塗料の代表的な塗料を紹介します。塗料選びの参考にしてください。
断熱塗料
塗料名 | メーカー | 施工単価 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ガイナ | 日進産業 | 3,500~4,800円 | 15~20年 |
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キルコ | キルコート・ジャパン | 3,500~4,800円 | 15~20年 |
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遮熱塗料
塗料名 | メーカー | 施工単価 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
サーモアイシリーズ | 日本ペイント | 3,500~4,200円 | 12~15年 |
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EC-5000PCM(IR) | アステックペイント | 3,400~3,800円 | 15~20年 |
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