凸凹の模様がオシャレな仕上がり!
個性的かつ汚れにくい塗装
外壁表面が凸凹しているデザイン性の高い塗装方法「ボンタイル塗装」について、詳しく解説します。
ボンタイル塗装とはどんな塗装なのか、そのメリットやデメリット、種類、費用など、外壁塗装の検討時に必要な情報をまとめました。
ボンタイル塗装を行う時の失敗しないコツも掲載しています。
デザイン性の高い外壁塗装を希望している方は、ぜひご覧ください。
ボンタイル塗装とは

「ボンタイル塗装」とは、外壁塗装で行われる塗装方法のひとつです。
「ボンタイル」は、ドイツ(旧西ドイツ)の「クノール社」が1960年代に使用し始めた商品ブランド名で、商標登録もされています。
「タイル」という言葉が入っていますが、粘土や長石を焼いて四角形などに成形するタイルではありません。
「タイルガン」と呼ばれる吹付工具を使い、外壁に「樹脂塗料」を吹き付けてボコボコとした凸凹模様を付ける塗装で、完成した塗装の表面はツルツルしています。
ツルツルした手触りはタイルと似ており、「吹付タイル」「玉吹き」とも呼ばれています。
吹付だけ行った場合はぷっくらと膨らんだ塗料の模様になり、吹き付けた後にコテやローラーなどで表面を押さえる「ヘッドカット」(「ヘッド押さえ」とも呼ばれる)を行うと膨らんだ部分の表面が平らになります。
一般的な塗装と比較して塗膜が厚く仕上がるため、防汚性・耐久性に優れています。
また、吹き付けて行う塗装方法のため模様の出方がひとつひとつ異なり、デザイン性の高さも魅力のひとつです。
ボンタイル塗装の種類
ボンタイル塗装は、「硬質タイプ」と「弾性タイプ」の2種類に分かれます。
硬質タイプは塗膜が硬い仕上がりになります。費用が安く済む反面、ひび割れしやすいという特徴があります。
弾性タイプはゴムのような弾力性のある仕上がりになります。ひび割れに追従するため防水性に優れている一方、費用は硬質タイプよりも高額になります。
硬質タイプ | 弾性タイプ | |
---|---|---|
費用 | 安価 | 硬質タイプよりも高価 |
耐久性 | ひび割れしやすいが、耐候性・耐摩耗性に優れる | ひび割れに追従、防水性・防汚性に優れる |
耐用年数 | 8~10年 | 10~12年 |
適した下地 | モルタルやALCなどの割れにくい下地 | クラックが出やすいモルタル壁など |
硬質タイプは標準的な仕上げとして昔から使われており、「ボンタイル塗装」と言った場合は一般的に硬質タイプを指します。
ボンタイル塗装のメリット・デメリット
ボンタイル塗装のメリット
外壁をボンタイル塗装で仕上げると、以下のようなメリットがあります。
- 汚れにくい
-
塗装した外壁は凸凹していますが、塗膜の表面はツルツルしています。
そのため、空気中のホコリやゴミが付いたとしても雨水で流れ落ちやすいです。気になる場合はホースで水をかけても汚れを落とせます。
- 防水性が高い
-
ボンタイル塗装は、一般的な塗料と比較して塗膜が厚くなります。塗膜が厚い分、防水性が高く、チョーキング現象やカビ・コケの発生など外壁の劣化スピードを遅らせることができます。
ただし、経年劣化を防ぐことはできないため、定期的なメンテナンスは他の塗料同様欠かせません。
- 個性的なデザインにできる
-
表面の凸凹模様は、吹き付け工法によって施工されます。吹き付け模様は職人の技術によってランダムに凸凹が配置されるため、ひとつとして同じデザインの模様はなく、オリジナリティが高いと言えます。
また、色や模様の自由度が高いため、デザインにこだわりたい方にもおすすめです。
ボンタイル塗装のデメリット
メリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。
- 費用が割高になる
-
一般的な塗料の場合、塗装は下塗り・中塗り・上塗りの「3回塗り」で行われます。
ボンタイル塗装では、下塗りの後に凸凹模様のベースとなる吹付塗装が行われ、その後に中塗り・上塗りを行う「4回塗り」になります。表面が平らなヘッドカットにする場合、吹付塗装の後にヘッドカットを行うため、工程がさらに1つ増えます。
工程や職人の手間が増える分、費用がかさみ、一般的な塗料よりも割高になります。
- サイディングボードへの塗装ができないことがある
-
サイディングボードとは、現在主流の外壁材です。
工場で板状に加工されたものを現場で取り付けるだけのため安価で、デザインも豊富です。
しかし、ボンタイル塗装で使われる塗料は、サイディングボードの種類によっては塗布できないことがあり、ボンタイル塗装を希望しても施工できないことがあります。
- 職人の技術によって出来上がりが左右される
-
スプレーガンで吹き付けるボンタイル塗装は、職人の高度な技術が必要です。
凸凹のバランスなど職人の腕によって左右され、見本のデザインと同じようになるとは限りません。
ボンタイル塗装の費用と耐久性

ボンタイル塗装の費用相場は、1m² あたり2,000円〜6,000円です。
費用相場の幅が広い理由は、先に紹介した「硬質タイプ」「弾性タイプ」のほか、以下の表のように上塗り塗料に何を使うかによっても費用と耐久性が変動するからです。
上塗り塗料の種類 | 特徴 | 耐用年数 | 価格帯 |
---|---|---|---|
セラミック系 | 耐候性・防汚性に優れる | 10~12年 | 低~中価格 |
シリコン系 | ひび割れに強く、撥水性が高い | 12~15年 | 中価格 |
フッ素系 | 耐候性・耐久性に優れる | 15年以上 | 高価格 |
フッ素系ボンタイルは初期費用がかかりますが、耐久性に優れているためメンテナンスの周期が長くなります。
外壁に求める性能・耐久性と予算のバランスを考えながら、上塗り塗料の種類を検討しましょう。
なお、ボンタイル塗装は骨材を使用した「リシン」や「スタッコ」と混同されやすいですが、骨材は使用しておらず、「タイルベース」と呼ばれる模様形成材を使用しています。
見た目が似ている「リシン」「スタッコ」との違いを、次項で詳しく解説します。
「リシン吹き付け」と「スタッコ吹き付け」との違い
ボンタイル塗装と同じように、外壁に凸凹とした模様を作る仕上げ方法として、「リシン吹き付け」や「スタッコ吹き付け」などがあります。
この3種類は、以下のような違いがあります。
ボンタイル塗装 | リシン吹き付け | スタッコ吹き付け | |
---|---|---|---|
表面の手触り | ツルツル | ザラザラ | ザラザラ |
主材 | 下地調整剤 | セメントやアクリル、破石配合物など | 石灰や水、砂 |
耐用年数 | 8~12年 | 6~8年 | 10~12年 |
特徴 | 防汚性・防水性に優れる | 通気性・透湿性に優れる | 重厚感・高級感のあるデザインになる |
模様の大きさ | 中くらいの大きさ | 細かい柄模様 | 大柄の模様 |
単価相場 | 2,000円~6,000円 | 3,000円 | 2,500円~3,000円 |
ボンタイル塗装で失敗しないコツ
外壁にボンタイル塗装を施す場合、以下の点に注意しましょう。
- 実績が多い塗装業者を選ぶ
-
ボンタイル塗装の魅力である凸凹模様は、職人によって模様の出方が変わります。
ボンタイル塗装に慣れていない職人の場合、凸凹のバランスやデザインなどが希望した出来上がりと異なるものになってしまうことがあります。
塗装実績が多く、ボンタイル塗装の経験も豊富な優良業者に依頼することがとても重要です。
- 見積書の内容を必ずチェックする
-
ボンタイル塗装は、一般的な塗料を使用した塗装と比較して工程が多くなります。
そのため、費用が多くかかります。
施工内容や塗料、工事日程など、見積書の内容を項目ごとに細かく確認し、少しでも疑問点がある場合は必ず業者に確認しましょう。
依頼者の質問にしっかり答えられない場合や、見積書の項目ごとに内訳や内容が記載されていない場合は、優良業者とは言えない可能性があり、手抜き工事をされてしまうリスクがあります。
なお、複数の業者に相見積もりを依頼すると、金額や項目の比較ができ、より安心して施工を依頼できます。
見積書の見方について詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装の見積書の見方・各費用の相場を分かりやすく解説!
- 訪問業者とはすぐに契約しない
-
ボンタイル塗装だけでなく、外壁塗装全般に言える注意点です。
外壁塗装を行う際には、通常であれば事前に現地調査を行い、現在の外壁の状態を確認してから見積書を作成します。
突然訪問してきて、「外から確認したが、いますぐに対策をしないと危険」「今日このまま契約すれば半額になる」など、不安をあおってきたり、契約を急がせる業者には注意しましょう。
外壁塗装のトラブルについて詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装よくあるトラブルと対応策
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どこに依頼すればいいかわからない場合は、ぜひ参考にしてみてください。