雨水の侵入を防ぐ優れた防水塗料!注意点もしっかりチェック
外壁塗装を検討していると、「防水塗料」という言葉を目にすることがあります。
防水塗料とはどんな塗料なのか、その種類や選び方、非防水塗料との違いなどを詳しく解説します。
使用してはいけない壁についてもまとめたので、防水塗料を検討している方はぜひご覧ください。
防水塗料とは
防水塗料とは、雨水の侵入を特に強く防ぐ「防水性能」の高い塗料のことで、塗料の種類やカテゴリーを指すものではありません。
防水塗料は大きく分けて「壁用」と「床用」の2種類があります。
壁用の防水塗料は、一般的に「弾性塗料」のことを指します。外壁用の塗料には基本的に防水効果がありますが、中でも特に防水性能の高い弾性塗料を「防水塗料」と呼んでいます。
一方、床用の防水塗料は「トップコート」と呼ばれ、ベランダや屋上など平らな床面の防水に使用されます。トップコートは塗料の防水層の保護を目的としたコーティング剤です。
なお、外壁塗装で行われる「3度塗り」のうち、中塗り・上塗りを指して「トップコート」という場合もあります。
- 弾性塗料はどうして防水性能が高いの?
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弾性塗料は、その名の通り塗膜がゴムのように伸縮する弾性を持っています。一般塗料の塗膜伸縮率を100%とした時、弾性塗料の伸縮率は200~600%程度あり、この伸縮率の高さで外壁のひび割れに追随し、長期間防水性を発揮します。
ひび割れなどにより住宅内に水が浸入すると、建材の腐食や鉄筋の錆を招き、建物の劣化を早めてしまいます。
そのため、外壁塗装において弾性塗料はとても重要な役割を持つと言えます。
- 弾性塗料のメリット・デメリットは?
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- メリット
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- 塗膜が破れにくいためひび割れしにくい
- 防水性が高い
- 小さな虫の侵入を防ぐ
弾性塗料は塗膜がゴムのように柔らかいため破れにくく、ひび割れに強いのが特徴です。
さらに、一般的な塗料よりも厚めに塗られることが多く、ひび割れしにくいことと合わせて防水性が高くなっています。
また、外壁にぴったり密着する塗料のため、小さな害虫の侵入を防ぐこともできます。
- デメリット
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- 耐用年数がやや短い
- 湿気がたまりやすい
弾性塗料の耐用年数は全体的に8〜12年と、比較的短めです。その分、長い目で見ると塗り替えの回数が多くなると言えます。
また、通気性が低く湿気がたまりやすいため、湿度の高い季節は塗膜の膨らみが発生することがあります。
なお、現在では通気性を高めた弾性塗料もあります。弾性塗料を検討する場合は業者に確認してみましょう。
当サイトでは、「防水塗料=弾性塗料」として解説しています。
防水塗料の種類
防水塗料は、ベースとなる主成分の樹脂によって大きく4種類に分けられます。
- アクリル
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扱いやすくて安価、さらに発色が良く塗装表面が美しく仕上がるため、以前は外壁塗装の主流でした。
しかし、耐用年数が3〜6年程度と短く耐久性が低いため、現在では外壁よりも内壁の塗装に使用されることが多いです。
代表的な塗料
日本ペイント「DANフレッシュ」
- ウレタン
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弾力性・密着度が高く、色の種類も豊富でバランスの取れた塗料です。
耐用年数は6〜10年と比較的短めで、紫外線に弱く変色しやすいため、外壁ではなく付帯部の塗装に使用されたり、長く住む予定の無い建物の外壁塗装に使用されたりすることが多いです。
代表的な塗料
アステックペイント「マックスシールド1500U-JY」
- シリコン
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耐用年数が7〜13年と耐久性に優れ、仕上がりの精度も良く、コストパフォーマンスに優れているシリコンは、現在の外壁塗装の主流です。
弾力性の面でみると他の塗料よりも性能が低く、ひび割れしやすい外壁にはあまり向いていません。
代表的な塗料
エスケー化研「セラミクリーン」
- フッ素
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4種類の中で価格はもっとも高価ですが、耐用年数は15〜18年と耐久性に優れています。耐寒性・耐水性にも優れ、大規模な建造物に使用されることが多いです。また、塗り替えのメンテナンスにも使用されています。
最近では、一般住宅の外壁塗装に使われることも増えてきました。
代表的な塗料
関西ペイント「セラMフッソ弾性」
上記のように一口に防水塗料と言っても、主成分の樹脂によって機能や特徴が異なります。
価格重視なのか、耐用年数重視なのか、など自分の希望に合う防水塗料を選ぶようにしましょう。
非防水塗料との違い
防水塗料とは、塗膜が柔らかくゴムのように伸縮する「弾性塗料」を指します。
対して、非防水塗料は弾性がほとんどありません。
外壁は直接風雨や紫外線に晒されるため、塗膜が硬くなる非防水塗料はひび割れや塗料の剥がれなどの劣化症状が発生しやすいと言えます。
- 非防水塗料はどこで使われるの?
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防水塗料は外壁に密着する性質のため、通気性が低い塗料です。
その点、非防水塗料は通気性に優れるため、日光や雨が当たらない場所を塗装するには最適な塗料と言えます。
防水塗料の選び方
防水塗料はとても種類が多く、選ぶのが大変かもしれません。
どの防水塗料が自分に合っているのか迷ってしまった時は、以下を参考に選びましょう。
- 好みの色
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防水塗料はとても多くの色の種類があります。
外壁は塗る面積が大きく、色は建物の印象を左右します。
自分の好きな色や、家に持たせたいイメージに合った色を選びましょう。
なお、外壁塗装では以下の色の人気が高いです。
- ベージュ、クリーム系
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周囲になじみやすく、シンプルで飽きのこない色です。明るい印象を与えること、汚れが目立ちにくいことも人気の理由の1つです。
- 薄いグレー
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スタイリッシュで都会的な印象を与えるグレーも人気です。濃いグレーは汚れや補修跡が目立つため、薄いグレーがおすすめです。
- ブラウン
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ブラウンも汚れが目立ちにくく、汚れの中でも赤土や潮風が心配な立地の建物に人気があります。多彩色で仕上げると、レンガ調のオシャレな外壁に仕上げることも可能です。
- 薄い暖色系
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薄いオレンジや淡いピンクなど、暖色系は温かみを感じさせる外壁になります。原色に近い濃い色は主張が強くなるため、淡い色の方がおすすめです。
色による効果について詳しくはこちらをご覧ください。
色による効果について詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装、イメージしたカラーと違う?!知っておきたい「面積効果」と「同時対比」
- 耐用年数・性能
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防水塗料は、ベースの樹脂によって耐用年数や性能が大きく異なります。
一般的に、塗料の価格が安いほど耐用年数は短い傾向にあります。費用を抑えようとして安価な塗料を使用すると、初期費用は安く済んでも短い期間で塗り替えをしなければならず、トータルで見るとコストがかかります。
防汚性や耐候性もさることながら、耐用年数には特に注意しましょう。
主な樹脂別耐用年数・価格帯・30坪の物件での塗装費用は以下の通りです。
ベース樹脂 耐用年数 価格帯 30坪の物件での塗装費用 アクリル 3~6年 1,000~1,400円/m2 60万円~ ウレタン 6~10年 1,200~1,800円/m2 70万円~ シリコン 7~13年 1,600~2,200円/m2 85万円~ フッ素 15~18年 1,800~3,600円/m2 110万円~ 塗料の耐用年数などについて詳しくはこちらをご覧ください。
初めてでもすぐわかる!外壁塗装の塗料の種類・グレード・選び方
- 塗装面積
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厚い塗膜を作ることで防水効果を持たせるため、塗料は一般塗料よりも厚めに塗ります。
塗装面積に応じた塗料の必要量は製品によって異なるため、塗装面をしっかり把握したうえで、塗料を準備する必要があります。
塗装面積を施主がわかっていると、外壁塗装業者の見積もりにおかしな点がないか計算できるため、確認しておきましょう。
あくまで目安ですが、延べ床面積から塗装面積を計算できます。
延べ床面積とは、各階の床面積を合計したものです。坪数しかわからない場合は、坪数×3.3でm2が求められます。
計算式:延べ床面積(m2)×係数(1.2~1.7)=塗装面積(m2)延べ床面積が大きくなるほど小さい係数を使って計算した方が、実際の面積に近くなります。
延べ床面積の大小が判断できない場合、係数は1.2を使用しましょう。
塗装面積の計算について詳しくはこちらをご覧ください。
北本市で外壁塗装!オススメ業者&外壁の面積の計算方法教えます
防水塗料が向いていない壁ってあるの?
防水塗料は、その性質から「塗装に向いていない壁」があります。
「ひび割れも雨水の侵入も防ぐなら防水塗料が一番いいのでは?」と思うかもしれませんが、向いていない壁に塗装してしまうと早期劣化を招くため注意してください。
- ①窯業系サイディング
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窯業系サイディングは住宅外装の70%を占める現在主流の外壁材ですが、防水塗料には向いていません。
この外壁材は蓄熱性の高さが特徴で、外壁から水蒸気が発生する可能性があります。
そのため、通気性の低い防水塗料は耐用年数を待たずに塗膜が膨れてしまうリスクがあります。
- ②ジョリパット
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ジョリパットでは細かな凹凸のある意匠性の高いデザイン外壁にできます。
一方で、塗膜表面の凹凸がとても細かいため、防水塗料を塗ると凹凸の隙間に空気が入ってしまい、湿気や密着度の低下によって塗膜が膨れてしまうリスクがあります。
なお、防水塗料に限らず伸縮性のある塗料はジョリパットでは使用できません。
防水塗料は外壁のひび割れを防ぎ、建物への雨水の侵入を防ぐとても優れた塗料です。
しかし、含まれる樹脂や塗布する外壁材によって注意すべきポイントの多い塗料でもあります。
防水塗料を使用して外壁塗装を行う場合は、経験豊富な業者に依頼するようにしてください。
外壁材と塗料の相性について詳しくはこちらをご覧ください。
外壁材の種類と塗料との相性を知ろう